兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2010年11月05日(1638号) ピックアップニュース

燭心

日本中あちこちで熊が里に出没し、世間を騒がせている。なんでも今年は、熊のエサのどんぐりの出来が悪く、熊がエサを求めて里に出没して来るらしい▼ところで、熊と言えば、スイスのベルンが浮かぶ。ベルンとは、ドイツ語で熊を意味する。スイスの逸話によると、昔、町の名前を決める際に領主が「猟で最初に捕えた動物の名前を町の名前とする」と決めたらしい。そして、最初に捕えられたのが熊だった。当時の西ヨーロッパには、熊がまだ生息していた▼しかし、産業革命による自然破壊が野生生物のすみかを奪い、熊も例外なく絶滅した。残念なことに、今の西ヨーロッパで、野生の熊を見ることはできない。アルプスの山々に囲まれたスイスでさえも熊はいない▼近年、日本国内での外来種の野生化が深刻な被害をもたらしている。例えば、ぺットとして飼われていたアライグマが野生化し、畑の農作物を食べ散らかす事件が報道されていたが、これはほんの一例にすぎない。人間のエゴが生んだ事件だ▼また、地球温暖化を指摘する声は多い。それは、人類が累々と積み重ねてきた化石燃料の消費によると言う人もいれば、一方で、地球の地軸のずれによるもので地球史のほんの一時的現象に過ぎないという意見もある。ただ、人間のエゴに基づく環境破壊が続けば、もはや人類の存続は難しいだろう。スイス人が、私たち日本人にささやくかもしれない。「日本では、熊の次は日本人が絶滅する番だ」と(燈)

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