兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年2月15日(1678号) ピックアップニュース

被災者窓口負担免除 9月末まで延長 協会・保団連の要望が実現

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協会・保団連は厚労省に
粘り強く延長を求めてきた
(1月19日、国会議員会館会議室)

 東日本大震災被災者に対する医療費の患者窓口負担免除措置について、今月末までとしていた期間を9月30日まで延長することを、厚労省は1月31日付の事務連絡通知で明らかにした。協会・保団連が繰り返し求めてきた、期間の延長と対象拡大の一部が実現した形となった。

国保、後期高齢、協会けんぽで
 厚労省の事務連絡によると、福島第一原発事故による警戒区域等の全ての住民は2013年2月28日まで延長。東日本大震災による被災区域の住民は、国民健康保険および後期高齢者医療制度の被保険者について今年9月30日まで延長するとした。
 協会けんぽ、健保組合については「財政支援は行わないが、保険者の判断により一部負担金の免除等を延長することは可能であるので、各保険者において、被保険者の状況を踏まえ、適切に対応いただきたい」などと保険者に責任を転嫁する姿勢を示しつつ、「全国健康保険協会(協会けんぽ)においては、...免除を延長する予定である」として、協会けんぽでも9月30日まで延長することを明らかにした。
 ただし、入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担免除は延長されず、2月29日で打ち切られる。
解説 継続的な運動が力に
 被災者の窓口負担免除措置について厚労省は、震災当初には「11年5月まで」とし、協会は被災直後から、東日本大震災は阪神・淡路大震災を上回る巨大災害であり、窓口負担免除は全被災者を対象とし、期限を設けないことを要請。その後も、延長を求める理事会声明をだすなど、保団連・被災地の協会とともに、厚労省への要請を重ねてきた。
 その後、昨年5月には、本年2月29日までの延長を決定していた。
 今回の再延長にあたって、社保については「保険者の判断」として財政支援を行わないなど、政府の責任を放棄している。協会けんぽの延長措置を決めたものの、その表現は他人事のように「延長する予定」としている。しかし、協会けんぽは単なる民間組織ではない。前身の「政府管掌健康保険」という名称が示すように、政府が責任をもつもので、現在の「全国健康保険協会」も健康保険法によって設立が規定され、理事長の任命は厚労大臣が行うなどと規定されている。国の管理運営責任を逃れるものではない。
 厚労省が、他人事のような表現ながら延長を表明せざるを得なかったのは、それを許さない被災地の実態と運動を無視できなかったからである。社保に財政支援を行わない・入院時食事療養費打ち切り・9月末での打ち切りなど課題は多い。被災者に冷たい厚労省に対し、復旧・復興が終わるまで引き続いての運動が求められている。
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