兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年6月25日(1690号) ピックアップニュース

燭心

 8020運動、歯科の先生方はもちろんご存じだろうが、80歳になっても自分の歯を20本以上保とうという運動である。おいしく食べることはもちろん、喋ることや歌うこと、高齢期のQOLが随分違ってくる。健康に長生きできる秘訣と1989年に厚生省や日本歯科医師会が始めた▼最近では一般にも随分浸透してきたが、この運動のルーツが県下の一山村であることはあまり知られていない。岡山との県境も近い佐用郡南光町、今は合併し佐用町の一部になっているが、ここに83年町立の歯科保健センターができたのが始まりである▼当時の南光町は無歯科医地区で治療を心待ちにしていた町民も多かったが、小さな診療施設では対応しきれない。そこで真っ先に手をつけたのは町ぐるみの歯科検診と寝たきりなどの障害者の歯科治療。随分大胆なやり方と、中心になった新庄文明歯科医師も言っているが、いざやってみるとお年寄りのQOLがどんどん改善していくことにびっくりする▼この時の経験を元にしたのが〝8020〟である。7月1日、協会も参加する「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会が当時の南光町長、山田兼三氏を招き市民講座を開く。閉塞感の強い歯科界だが、現状はやっと「8010」、まだまだ道半ばである。新庄氏と二人三脚で道を切り開いてきた行政マンの志、私たちを勇気づけるものと期待している。医科の先生方も、歯の大切さを知るいい機会、ぜひどうぞご参加を。(星)
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