兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2017年12月15日(1865号) ピックアップニュース

北摂・丹波支部
三田市のこども医療費助成制度後退に抗議

 三田市は9月議会で、こども医療費助成に所得制限や一部負担を導入する制度改悪を決定した。北摂・丹波支部は11月9日の第288回支部幹事会でこの決定に対する抗議声明を採択し、三田市および関係機関に送付した。内容を紹介する。

 三田市の決定は、少子高齢社会対策として必要な子育て支援に反するものであり、三田市の地域医療に責任を負う医師・歯科医師の団体として強く抗議する。
 これまで三田市では、こども医療費助成制度の拡充が段階的に行われ、所得制限も緩和されてきた。2015年からは、「子育てするならゼッタイ三田」のキャッチフレーズのもと、子育て世帯を呼び込む目玉施策として中学3年生まで所得制限なしでの医療費無料化が実現。「お金の心配なく子どもを受診させることができ、重症化をまぬがれた」「医療費の心配なく子育てができ、三田市に引っ越してきてよかった」と、多くの市民に喜ばれてきた。
 しかし、今回の決定は、この方針に真っ向から反するものである。全国的にこども医療費助成制度が拡充されてきた中での制度改悪は許されない。
 三田市は制度改悪の理由に「危機的財政状況を改善するための行財政改革」を挙げ、所得制限を設けることで年間約7800万円の財源が生まれるとしている。しかし、こども医療費助成制度を実施している他の自治体の調査には、「時間外受診が拡大前の92.7%に減少」「1件あたりの費用は横ばい」「子ども医療費の伸びは対象人数の伸びより低くなっている」とある。助成制度拡充により病気の重症化を防ぐため、医療費の増加にはつながらないことが明らかになっている。
 親の所得に関係なく子どもが安心して医療を受けられるようにするため、三田市は、こども医療費助成制度を改悪せず、現行制度を継続すべきである。
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