兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2020年9月15日(1952号) ピックアップニュース

保団連近畿ブロック厚労省要請
新型コロナ禍対応と歯科診療報酬の改善を

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川村副理事長(左から3人目)らが厚労省担当官(右側3人)に歯科診療報酬の改善などを要請

 保団連近畿ブロックは8月27日、新型コロナウイルス感染症に関する要望および歯科診療報酬の不合理是正を求め、厚労省要請に取り組んだ。兵庫協会から川村雅之副理事長が出席した。厚労省からは医政局、保険局の各担当課から課長補佐など7人が応対した。懇談は倉林明子参議院議員の仲介で、参議院議員会館会議室にて実施した。

医療機関の減収補填へ診療報酬概算払いを要請
 新型コロナウイルス感染症に関して医政局等へは、(1)医療従事者へのPCR検査を無償で定期的に実施すること、(2)「不要不急」の歯科治療の手控えなどを定めた厚生労働省事務連絡(4月6日付)の撤回と是正、(3)医療機関の減収補填としての診療報酬の概算払いについて要請した。
 厚労省は「不要不急」の歯科治療を控えるよううたった、いわゆる「4月6日通知」について、「感染拡大の広がりが見通せない中、あの時点で通知を出したことは間違っていたとは思わない」、「口腔の健康の保持や増進対策が重要であることは国としても認識しており、6月19日には歯科疾患の要望や重症化予防に取り組みながら、感染症患者に対応する歯科治療の体制確立に向けて通知を発出した」と回答した。
 近畿ブロックからは、兵庫協会や大阪歯科協会の会員から多数寄せられた、風評被害による受診控えや訪問歯科診療の拒否による治療中断などで重症化が起こっているなどの声を紹介。第2、第3波に備え、「歯科医院が院内感染防止に努めており安全である実態を、国はもっと発信すべき」と強調した。
 また、医療機関の減収補填としての診療報酬の概算払いの要請について、厚労省は「概算請求は、自然災害やレセコンの水没などの場合に適応される。実際に行っていない診療行為に対して保険給付を行うことになり、難しい」と答弁。近畿ブロックからは、「非営利で高い公益性を持つ保険医療機関として歯科医療の提供体制を支えてきた。減収補填することは当然であり、概算払いを認めるべきだ」と訴えた。
保団連近畿ブロック厚労省要請
金パラの赤字解消へ抜本的な見直しを要求
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厚労省担当者(右奥)に、近畿の歯科医師ら(左手前)が診療報酬の概算払いなどを要請

 続いて、歯科診療報酬の不合理是正を保険局に要請。厚労省保険局医療課長の青木仁氏らと懇談した。金パラ随時改定のルールの抜本的な見直し、歯初診注1の届出に必要な研修の猶予措置、歯管の初診月の100分の80への減算の不合理是正、歯周病重症化予防治療(P重防)の混乱の早期収拾と歯周病に関する継続管理を簡素に整理・再編すること、歯科技工を含む補綴技術料の引き上げなど12項目。
 歯科金属材料の逆ザヤ問題については、金パラが現在、30㌘あたり8万5千円を超え、今の告示価格でさえ逆ザヤである上に、10月改定の引き下げでさらに赤字が拡大すること、チタンや前歯部CAD/CAM冠といった代替材料を広げるだけでなく、ルールを抜本的に見直すよう求めた。厚労省は、「診療報酬の改定時に実勢価格と素材価格の両方を加味し、3カ月後に一度見直せるよう、随時改定Ⅱを設けた」と現状のルールを説明するにとどまった。
 歯科疾患管理料(歯管)の初診月の100分の80への減算について厚労省は、継続管理の観点から再診月を評価したと説明。近畿ブロックからは、「初診では、主訴の治療と今後の治療計画を策定し、改善のための指導が必要になるなど、再診月よりも労力が必要であり、減算は実態からかけ離れている」として、安易に減算すべきではないと強く指摘した。
 また、今回の診療報酬改定で新たに導入された歯周病重症化予防治療(P重防)については、近畿ブロックから、歯周基本治療や歯周外科との関係が不明瞭であり、3カ月毎の管理を基本とするSPTⅠと、軽症例でも毎月算定できるSPTⅡとの関係がいっそう複雑となっていること、もともと、どの医院でも提供できるSPTを「か強診」の届出の有無で格差をつけた一物二価の矛盾に加え、P重防とSPTの境目としてポケット3㎜を唯一の指標にしたことでアタッチメントロスの考えが欠落し、臨床の実態からますます運用がかけ離れていること、改訂された歯周病治療のガイドラインの発出が3月31日付で周知期間がなく、新点数説明会である集団指導もない中で4月からスタートし現場が混乱したことなども指摘して今後の改善を求めた。
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