兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2021年2月15日(1965号) ピックアップニュース

燭心

 1月のことであるが、私が初めて診た17歳の女性患者の話である。私が「17歳だと高校生かな?」と水を向けると、彼女曰く「そうです、そして来年投票できる歳になります」。続けて「お父さんは安倍さんが好きで投票してたんですが、誰に投票したらいいんですか? この頃の政治っておかしいでしょう?」▼長らくこの家業をやっているが高校生から政治の話を向けられたのは初めてのことで、一瞬面喰らってしまった。診察中の積極的な問いかけに、限られた時間でどう答えるべきか。人は興味や好奇心を持った時に知識などを一番吸収するものである。高校生の質問に対して真摯に向き合わねばと、こちらも気合いが入る▼まず、今の政治がおかしいのは法律自体に問題があること。その法律を作るのは政治家で、その政治家はこれまでの有権者が選んだという事実。選挙は人気投票ではなく、公約などを基準に考えるべきと伝えた。そして、経済に関係ある大学に進みたいと語った彼女に、〝経済〟は福沢諭吉が作った四字熟語の〝経世済民〟に由来する言葉で、国民の暮らしに直結している事柄であり、興味を持つのは大切なことだと教えた。うなずきながら話を聞く高校生の輝いた目が印象に残っている▼若い年代に限らず国民の政治離れが憂慮されているが、コロナ禍の下で、多くの人々の問題意識が呼び覚まされつつある。彼女のような若者が増えた時、日本は良い方向に大きく変わっていくだろう。そのことを強く願いたい(蓮)
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