兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

兵庫保険医新聞

2021年6月15日(1976号) ピックアップニュース

75歳以上窓口負担2倍化 自・公・維・国が賛成し法案成立
負担増反対署名 3万筆超

1976_11.jpg

国会内集会で法改定に反対する医師・歯科医師

 75歳以上の医療費窓口負担の原則2割化等を盛りこんだ医療制度改定一括法案が、6月4日の参院本会議で自民・公明・維新・国民民主各党などの賛成により成立した。協会はこれまで窓口負担の引き上げは受診抑制を招くとして署名運動を実施。3万筆を超える「負担増反対」の署名が寄せられていた。

 同法では、75歳以上の窓口負担を原則1割から2割へと2倍に引き上げるとし、対象は370万人にも上る。
 政府は改定の口実に、「世代間の不公平の是正」と「現役世代の保険料負担軽減」を挙げている。しかし、高齢者は抱える疾患が多く負担額は現役世代を大きく上回っており、また現役世代の保険料負担軽減額はわずか月30円にとどまる。事実に基づかずに、世代間対立を煽り、負担増を合理化する手法は極めて姑息である。
 政府が主張するように若年層の負担を軽減するのであれば、窓口負担引き上げではなく、大企業を中心とした保険料事業主負担の引き上げや、現役世代の賃金を引き上げて保険料収入増を図るべきである。それでも医療費財源が不足するというのであれば、まずは大企業や富裕層への行き過ぎた減税政策をやめるべきである。
 政府の法改定の真の狙いは、2割負担導入による高齢者の受診抑制による医療費の削減にある。このことは、2割負担によって医療給付費を年間1050億円抑制できると、法改定にあたり政府が試算していることからも明らかである。
 協会は、社会保障を切り捨てるこの法改定に反対するため、「医療・介護の負担増の中止を求める」請願署名運動を展開し、会員の先生に医院での署名活動への協力を要請。これまでに3万筆以上が寄せられ、集まった署名は国会議員への要請行動の際に議員へ提出した。
 協会は、さらなる負担増計画に反対するとともに、75歳以上の高齢者の窓口負担を速やかに1割へと元に戻すよう、運動を強めていく。
 以下に、署名とともに寄せられた声を紹介する。
署名に寄せられた声
・自分たちが高齢になった時に安心して暮らせるように、窓口負担増はやめてもらいたい。

(46歳)


・私は体が弱いので、よく病院のお世話になっています。自己負担額が上がるとただでさえギリギリの生活費でやっているのに、さらに生活が苦しくなってしまいます。

(63歳)


・年金生活で介護保険も使っていないのに高額を天引きされるし、この上医療費窓口負担も増えるのはおかしい! 弱い者苛め甚だしい!

(80歳)


・75歳以上にもなると、病院に行くことがなにかしらあると思います。2割になると、病院に行くのを我慢してしまいそうです。そうなると平均寿命が短くなってしまいそうです。

(49歳)


バックナンバー 兵庫保険医新聞PDF 購読ご希望の方