兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年6月05日(2007号) ピックアップニュース

燭心

 世界の人々に「戦争の賛否」について尋ねてみたとする。(1)反対、(2)時と場合による、(3)賛成、それぞれ何%位になるだろうか。(1)が大多数の場合、戦争は回避される。問題となるのは少数の(3)が(2)を引きずり込む構図である▼ストックホルム国際平和研究所によると、2020年の世界の軍事費総額は約237兆円で、その4割近くが米国で約99兆円、2位は中国で約32兆円である。世界の大手軍事企業100社の総売上高は約50兆円に上り、その6割近くを米国が占める。1位はロッキード・マーティン社で、10位までに米国5社、中国3社がランクインしている▼武器輸出額も1位は米国(1兆2900億円)、2位はロシア(5660億円)である。武器以外にも兵士の衣・食・住に関わる分野も多く、壊すことのできない大産業を構成している▼戦争には「正しさ」などなく、「大義名分」などは大量殺人のための言い訳に過ぎない。自身の利益を判断基準とする戦争を望む勢力は、軍事大国を中心に世界中に存在し、火の粉さえ飛んでこなければ、戦争が続いてほしいとさえ考えて動いているのではないか。そのためには交流を遮断し、情報を操作し、扇動もする。歴史的にも、政・官・財、マスコミに、そのような勢力は少なからず存在した▼「...いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて...」と日本国憲法は謳う。「平和ボケ」から「非国民」への道へと引きずり込まれてはならない(空)
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