兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2023年3月15日(2032号) ピックアップニュース

解説 10月導入予定の消費税インボイス制度
インボイスは慎重な対応を 必要のない登録で課税・独禁法違反に注意!

 今年10月から政府が導入を予定している消費税の「インボイス制度」。協会には「医療機関も登録が必要なのか?」「取引先の歯科技工所にインボイスを求めたほうがいいのか?」など、医療機関としての対応について、会員から質問が寄せられている。制度への対応には慎重な検討が必要であり、必要がないのに登録すると消費税を納税しなければならない可能性もある。対応にあたっての注意点などを解説する。
まずは自院の消費税
申告形態の確認を
 インボイス制度の導入により、消費税納税の際の仕入れ税額控除のために仕入先からインボイス(適格請求書)を受け取り保存する必要が出てくる。
 このインボイスを発行するためには登録が必要だが、自院が免税事業者なのか、簡易課税事業者なのか、本則課税事業者なのかで取るべき対応が変わるため、まずは自院の申告形態をご確認いただきたい(図)。
(1)医療機関が支払いを受ける場合
 診療報酬は消費税非課税であり、取引先が個人の患者さんなので、原則として一般の医療機関はインボイスを発行する必要はない。
 自費売上が1000万円超の課税事業者である医療機関は、インボイスの登録の検討が必要となるが、自費の内容によっては登録の必要のない場合がある。実際に取引でインボイスを求めてくるのは法人の場合がほとんどで、自費売上が多くても、相手が個人(インプラント等の自費診療)や自治体(インフルエンザ等のワクチン接種)が多くを占める場合は、インボイス発行事業者としての登録は必要ない。
 ただし、免税事業者であっても、本則課税事業者である法人等を取引先として自費診療(健康診断やワクチン接種)を行った場合は、その法人からインボイスの発行を求められる場合がある。
 インボイス発行には登録が必要となり、登録に際しては課税事業者となり消費税を納める必要がある(表)。免税事業者である医療機関が、取引先からインボイスを求められた場合、その売り上げを維持するメリットと課税事業者となり消費税を納税するデメリットを比較し、慎重に対応する必要がある。
 何より、取引先が「課税事業者にならなければ取引価格を引き下げろ」等と通告することは独占禁止法違反の疑いが強いため、こうした事例が発生した場合はすぐに協会までご連絡いただきたい。
(2)医療機関が仕入れを行い代金の支払いをする場合
 医療機関が免税事業者や簡易課税事業者ならば、仕入れ税額控除をする必要がないため、歯科技工所などの仕入れ先からインボイスを得る必要はない。
 本則課税事業者の場合は、インボイスを受け取れなければ仕入れ税額控除ができず納税額が増えてしまうこととなる。
 ただし、インボイスを求める際にも、歯科技工所など仕入れ先に対して取引停止をほのめかして、値引きを要求したりすることは独占禁止法上、問題となる恐れがあるので、注意が必要である。
中小業者への増税が狙い
 インボイス制度開始に向けて政府は事業者に対し登録および対応を求めている。
 しかしインボイス制度は消費税負担・事務負担を小規模事業者にまで広げ、経営を危機にさらすことになる。
 税制改正大綱により免税事業者への緩和措置が導入されるが、あくまで期限付きのものであり、業者間での分断を起こすことからも、インボイス制度は問題を抱えた制度であると言える。
 そもそも消費税について、政府は「社会保障のため」として税率を引き上げながら、患者窓口負担引き上げなど社会保障給付を抑制し続けてきた。そして、医療機関には仕入れ税額控除ができない控除対象外消費税(損税)による負担が大きくのしかかっている。
 協会は、家計を悪化させ、逆進性の高い消費税の減税・廃止、医療機関の損税問題の「ゼロ税率」導入による解決、インボイス制度の廃止を求めている。

図 インボイス対応検討フローチャート
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登録の期限は9月30日

 10月からインボイス発行事業者となるための登録期限は9月30日です。慌てず慎重に検討しましょう。
 インボイス制度への対応について、ご不明な点は協会までお問い合わせください(電話078-393-1807、平日10~12時、14時~17時)

インボイス制度の問題点について
詳しくは下記サイトをご覧ください
2032_06.gif https://stopinvoice.org/
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