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健康情報テレホンサービス

2011年6月

【水曜】 こむら返りに効く漢方薬 ―芍薬甘草湯―

 こむらがえりとは、ふくらはぎの筋肉の痙攣をさす言葉ですが、他にも、太ももの筋肉や手指(てゆび)・足指(あしゆび)にも同様の痙攣がおこることがあり、これらをまとめて、足や手がつる、と表現されることもあります。こむらがえりは、激しい運動による筋肉の疲労や、加齢による筋肉の血流低下、あるいは、冷えや脱水などによって起こることが多く、また、糖尿病や腎臓病、甲状腺の病気などでも起こりやすいとも言われていますが、そのメカニズムについてははっきり分かっていません。

 こむらがえりの予防法としては、運動のあとにしっかりストレッチをおこなう、水分補給をこまめにする、体を冷やさないようにする、などが有効ですが、お薬では、漢方薬の芍薬甘草湯が、こむら返りの特効薬として有名です。

 芍薬甘草湯は、牡丹の仲間の芍薬の根と、甘い草と書く甘草の根を煎じて作られた漢方薬です。今から約1700年前に書かれた「傷寒論(しょうかんろん)」という漢方の古い本の中で、「芍薬甘草湯を与えると痙攣した足が伸びる」と書かれており、この頃からすでにこむら返りの治療薬として使われていたことがわかります。

 漢方薬は一般に「証(しょう)」と言って、同じ症状の患者さんでも、そのお薬が効きやすいタイプと効きにくいタイプがあることが知られています。芍薬甘草湯の場合は、このような「証」にこだわらずに用いても、90%以上の効果があることが知られています。また、このお薬は、1日1回程度の服用でもこむら返りの予防効果があり、毎日睡眠中にこむら返りが起こるという方は、1日1回寝る前に、あるいは、ゴルフに行くとこむら返りが起こるという方は、ゴルフの前日夜と当日朝に飲むだけでもかなりの予防効果が期待できます。

 ただ、このお薬の成分である「甘草」には、まれに、血液中のカリウムを低下させたり、むくみや血圧上昇といった副作用もあるので、漢方に詳しい医師とよく相談したうえでの服用をお勧めします。また、芍薬甘草湯を服用しても症状が改善しない場合は、他の病気が隠れていることもありますので、医師に相談されることをお勧めします。

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