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健康情報テレホンサービス

2014年12月

【年末年始】誤嚥しにくい食べ方と姿勢

 誤嚥(ごえん)とは、食べ物や飲み物が誤って気管を通って肺に入ることです。現在、日本人の死因の第3位は肺炎です。肺炎で圧倒的に多いのは、65歳以上の高齢者の嚥下障害による誤嚥を原因としたものです。熱が出たり痰が増えたり、呼吸困難という症状を引き起こします。

 喉の構造は、気管と食道の入り口が前後に隣り合っているため、このような間違いが起きます。気管の防御作用である咳は、誤嚥に気づきやすい症状の1つですが、病気や高齢によって喉の感覚が鈍っていると、咳がみられないこともあります。

 今回は、誤嚥しにくい食べ方と姿勢についてお話します。

 例えば、お茶漬けを食べていてむせることはありませんか? その理由は、刻み海苔など張り付きやすい食べものが混じっていたり、ご飯がお茶と混じるとバラけて喉を通る際に散らばり、喉に引っ掛かりやすくなるからです。また、おせちや雑煮にふりかける鰹節や刻み葱などは、口や喉に引っかかりやすい食品です。

 咳が自力でできる方は、引っかかったものを口の外に出せますが、呼吸器疾患があったり、高齢でしっかりと吐き出すことができない方は、次のように工夫しましょう。

 まず、ご飯粒をしっかりとふやかして、お茶にも少しとろみをつければ、まとめて食べられ誤嚥を防くことができます。また、刻み海苔などは、ふやかしたご飯の中にしっかりと混ぜ込んでください。そして、急いで食べずに、飲み込んでから落ち着いて話をしましょう。

 次に、姿勢についての注意です。特に気をつけたいのは、首の曲がり具合です。上を見上げるようにして飲み込むと、喉を通ったものは気管に入りやすくなります。また、飲み込む時の喉の力も十分に発揮することができません。そのため、少し頷くような姿勢で飲み込むと良いでしょう。また、食事の介助をしている方は、相手が上を向かないようにして目線の高さを合わせるようにしましょう。

 最後に、ご飯を食べた後30分以上は、体を起こしておいてください。食道の入ロが緩いと、胃酸を含んだ胃液が喉の方に逆流してきて、気管に入ってしまうことがあります。胃液の誤嚥は、特に重症な肺炎を起こします。

 今回述べたことはほんの一部ですから、不安な点があれば早めに近くの医療機関を受診しましょう。

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