2024年10月
【火曜】犬や猫に噛まれたら
犬や猫に噛まれた場合、「大したことはない」といって油断してはいけません。犬や猫の口の中にはたくさんのばい菌がいるので、噛まれると傷の周囲は赤く腫れて、熱を持って痛み、さらに重症化することもあります。もし、噛まれたら、患部に水道水を5分以上かけて下さい。その後、血が出てくるようであれば、タオルやガーゼで傷を圧迫して病院へ行きましょう。
動物に咬まれてけがをする場合の8割は犬です。犬に噛まれた場合は、念入りな洗浄と壊死した組織の除去、破傷風予防が必要です。犬が散歩中に土をなめるとその土の中の破傷風菌が犬の舌につき、その口で飼い主の手などをガブっと噛むと、噛まれた人が破傷風に感染する恐れがあります。治療には抗破傷風人免疫グロブリンと破傷風トキソイドが用いられます。動物園職員、消防士、ガーデニングをされる方、農夫など、リスクの高い人は10年に1回は予防接種をしておいたほうがいいでしょう。
もうひとつの問題は、狂犬病です。日本国内では狂犬病の心配はありませんが、東南アジアなどに旅行される場合は、安易に動物に近づかないほうが無難です。海外で狂犬病が疑われる犬や猫に咬まれた場合、できるだけ早期に医療機関を受診しましょう。狂犬病は、咬まれてから1カ月ほどの潜伏期間を経て発症します。発症すれば治療法はなく、ほぼ100%の方が亡くなりますが、感染直後にワクチンを連続して接種することにより発症を防ぐことができます。
猫に噛まれた場合は、パスツレラというばい菌による猫引っ掻き病が有名です。猫は、犬よりも歯が細く鋭いため、傷は小さくても深い傷になりやすく、感染する危険性が高いと言われています。猫に引っ掻かれて、数時間から2日程度後に、噛まれた部位が赤く腫れ上がり、発熱や痛みが出て、リンパ節が腫れることもあります。最近では、呼吸器系疾患・骨髄炎・髄膜炎・敗血症などの重篤な症状に発展し、死亡例も報告されているため、十分に注意が必要な感染症となっています。犬や猫などのペットとキスをするなどの過剰なスキンシップはできるだけ避けましょう。
以上、犬や猫に噛まれた時は、放置せずかかりつけ医に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。