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尼崎アスベスト高裁判決 クボタの加害責任を断罪 距離による線引きのこす

2014.03.25

アスベスト裁判.JPGのサムネール画像

 尼崎市内のクボタ旧神崎工場周辺で中皮腫を発症し、死亡したとして、遺族がクボタと国を相手に謝罪と損害賠償を求めていた裁判で、大阪高裁は3月6日、神戸地裁判決に続いてクボタの責任を認め、損害賠償を命じる判決を言い渡した。未曽有の被害を引き起こした原因企業・クボタの法的責任が司法の場で2度にわたり断罪された。
 しかし、アスベストの飛散範囲を工場周辺300mの範囲に限定し、原告1人については請求を棄却した。環境保全機構の調査でも、飛散は1・5㎞を超えており、クボタ自身も1・5㎞の範囲で「救済金」を支払っており、300mに限定したこととの関連は明示されなかった。
 国については、原告は旧工場周辺での健康被害の存在を無視し、大気汚染防止法による規制をしなかったと訴えたが、近隣暴露の危険性を予見すべき医学的所見は集積していなかったとして、責任を認めなかった。
 クボタ旧工場での石綿の使用中止から20年近く経過したが、潜伏期間は20年から40年に及ぶため、被害者は増加の一途をたどり、今後も増加する見込みである。
 同裁判を支援する「アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会」会長の船越正信先生(尼崎医療生協理事長)は、判決後に開かれた報告集会で「今後も拡大していくすべてのアスベスト被害者を救済することが目的。最高裁に向けて引き続き支援の運動を強めよう」と述べた。
 協会尼崎支部は「アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会」に参加し、八木秀満支部長が同会代表委員をつとめるとともに、高裁判決に向けて480筆の署名を届けるなど、継続的な支援を行っている。

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