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2009年分確定申告 特徴と今後の課題

2010.04.15

協会税務講師団  岡本毅一税理士
窓口業務を簡素化

 昨年の総選挙で政権が交代し、国民の期待を受けた新政権下での初めての確定申告となった。
 民主党が税制改革大綱を作成する段階では、医師の課税について租税特別措置法26条の廃止や事業税非課税措置の廃止などが討議されていたこともあり、申告書を作成する前から「措置法は今年はどうか」という質問が来た。「法律が通っているわけでもなし、法案が出されていることもないので、少なくても今年と来年の申告には影響はない」と回答したが、これからの取り組みによって左右される問題だ。
 税務署は昨年7月、税務調査の事務日数確保のために機構改革を行った。ワンストップサービスを実施して窓口業務を縮小し、内部事務を一元化したなかでの初めての確定申告ということになった。

収入構造変化への対応で差

 2008年から実施された後期高齢者医療制度と、構造改革の進行による非正規労働者の増加。また、高齢社会の進行により正規の雇用者が減少し、収入構造に変化が見られ、社会保険の加入者が国民健康保険に加入することになってきた。
 医療機関によって異なるが、基金からの収入の減少と国保連からの収入に変化が見られた。高齢者向けの医療に重点を置くか、一般診療に重点を置くかによって収入の変化が出てきたものと思われる。地域の特性にいち早く対応した診療所と対応し切れなかった診療所で、差が出てきたのではないか。
 昨年の新型インフルエンザ騒動の影響がいくつか報告されている。休診や看護師さんの休職、そして予防注射薬の手配や手に入った頃には流行が収まり、そのまま在庫になった。結果的には収入は増加したけれども、薬代などで忙しい割には所得の増加につながらなかった所が多いと聞く。
 レセプトオンライン請求の強制は排除されたが、高額なレセコンの負担は将来的には避けられない状況にある。投資促進減税などの控除はあるが、小規模の診療所には大きな負担になる。
私の場合は年金受給者の申告のお世話をしたが、社会保険料(国民年金、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料)の負担の多さに驚いた。所得税や住民税の10倍以上の負担をされている方が多く見られた。
 小泉構造改革の行き着いた社会はまさに格差社会で、医療・介護・年金などの社会のセーフティーネットが破壊され、医療にかかれない、受診を抑制するといった傾向が強くなった1年ではなかっただろうか。

医療難民を作らせない

  多くの国民が政権交代により生活の安定を求めたのが、昨年の総選挙の結果ではなかっただろうか。しかし、民主党から発せられるメッセージは、この国民の不安を解消するにはまだまだ遠い道のりのように見えるし、財政難を口実にした消費税の増税が論議されていることには大いに注目をしている。
 貧困化が言われているなかでの低所得者からの税の収奪は、ますます消費を低迷させ、医療難民を作り出すことにつながるものだ。

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