兵庫県保険医協会

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【声明】診療報酬の実質マイナス改定に抗議する

2014.01.10

2014年1月10日
兵庫県保険医協会理事長 池内 春樹


診療報酬の実質マイナス改定に抗議する


 安倍政権は12月20 日、2014年度診療報酬改定幅を決定した。消費税増税分を1.36%補てんしたが、薬価を1.36%引き下げ、本体はわずか0.1%プラスとなった。実質1.26%のマイナス改定であり、到底認めることはできない。
 自公政権下の2002年から4回にも及ぶマイナス改定は「医療崩壊」を引き起こした。その後の民主党政権下の2回の改定では、わずかではあったもののプラス改定が行われたが、依然として医療崩壊に歯止めはかかっておらず、今回の改定では、抜本的な診療報酬の引き上げと、医療機関の消費税損税の解消が求められていた。こうした中、安倍政権が今次改定を不十分な増税対応だけにとどめたことは、安心・安全の医療を求める国民と医療関係者の願いに背くものである。
 改定をめぐって、安倍首相は「新たな国民負担につながることは厳に慎まなければならない」などと発言。マスコミも「増える国民負担」「財務省と厚労族痛み分け」(朝日 12/21)、「国民と企業の健康保険料・税負担の拡大に直結する」(日経 12/ 22)、「保険料や医療機関の窓口での支払いも増える」(読売 12/21)など、「プラス改定=国民負担増」「診療報酬=医者の収入」として、国民に誤った情報しか提供しなかった。診療報酬は「国民が受ける医療の質と量を規定する」ものである。診療報酬改定の課題が医療崩壊に歯止めをかけることにあるという本質を覆い隠して、報道が行われたことはマスコミによる不当な世論誘導であるといえる。
 また、このマイナス改定について日本医師会が「十分だったとは言えない」と極めて低いトーンで懸念を示していること、日本歯科医師会にいたっては「マイナス改定の話もあったが、自民党歯科議連などによく動いていただいた」などと肯定的な評価を行っていることは医師・歯科医師を代表する団体の態度として甚だ疑問である。
 今回の改定は、消費税増税分の補てんについても、計算方法などに一定の改善があったとされているが、あくまで診療報酬による手当という従来の方針に固執しており、抜本的な解決とはなっていない。
 そもそも、社会保障充実を名目に消費税増税を強行したにも関わらず、診療報酬のマイナス改定を行うことは「消費税増税は社会保障のため」という公約が国民を欺くものだったことを改めて明らかにするものである。
 医療崩壊を阻止し、国民医療の改善と社会保障を充実することは国民の願いである。そのために、私たちは引き続き実質的な診療報酬のプラス改定と、医療への消費税ゼロ税率導入、患者窓口負担の軽減を強く求めるものである。


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