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日本歯科医師連盟の「迂回献金」の徹底解明と 「政治とカネ」問題の解消を

2015.10.10

2015年10月10日 

 

日本歯科医師連盟の「迂回献金」の徹底解明と

「政治とカネ」問題の解消を

兵庫県保険医協会

第1026回理事会

理事長   西山 裕康

歯科部会長 吉岡 正雄

 

 

 日本歯科医師連盟が民主党の西村正美参院議員の後援会を通じて自民党の石井みどり参院議員の後援会に「迂回献金」をした疑いについて、東京地検特捜部は9月30日、日歯連前会長で現日本歯科医師会会長の高木幹正氏、前副理事長の村田憙信氏、元会長の堤直文氏ら元幹部3人を政治資金規正法違反(収支報告書の虚偽記載など)の疑いで逮捕した。その後も家宅捜査が続けられ、石井、西村両議員への事情聴取も行われている。2004年に有罪判決を受けた自民党旧橋本派への1億円ヤミ献金事件(日歯連事件)から再び、日歯連会長経験者が逮捕される事態となった。

 日歯連は今回の「迂回献金」問題について、「法的な問題はない」と繰り返し強弁していたが、政治資金規正法の上限額を超えた違法行為と言わざるをえない。そもそも政治資金規正法で団体献金の上限額を5000万円へと改正されたのは、11年前の日歯連事件をきっかけにしてであった。にもかかわらず、規制の網をくぐり抜けるような行為を行うことは、日歯連の体質が依然として変わっていないことを物語っている。日歯連はもちろん、献金を受けた石井、西村両議員には説明責任を果たし、国民と歯科医療従事者に対して、「政治とカネ」の問題を引き起こし歯科医療への不信感を増幅させたことに対し厳しい反省を求める。

 また、11年前の日歯連事件と同じく現役の日歯会長が逮捕されたことからして、あらためて日歯の公益法人としてのあり方も問わざるを得ない。ことは日歯連だけでなく日歯執行部にも事件への責任が追及されてしかるべきである。

 今回の事態は違法献金であるという問題に留まらず、医政をめぐる「政治とカネ」の問題として、公的保険医療を担う職能団体のモラルが根本から問い直される事柄である。そもそも、診療報酬を引き上げるために、政権政党に組織内候補を立てて団体献金を行うということは、医療の質を定める診療報酬を「票とカネ」で左右させようとするものであり、国民医療を司る医療人としてのモラルが問われる問題であり、メディアの批判や国民の厳しい目に到底耐えられるものではない。

 兵庫県保険医協会は、医師と歯科医師が一体となり国民医療を充実させるために診療報酬改善要求等を掲げるが、開業医と国民の願いをまとめた署名などを集めて、すべての党派・議員に陳情を行っている。会員の思想・信条の自由を尊重した上で、開業医と国民の声をすくい上げて請願権を行使していくことこそが医療を充実する力である。

 また、今回の事件の根底には、迂回献金を受け取った側の自民党の金権体質、業界団体や官僚との癒着構造がある。日歯連の「迂回献金」の徹底解明を求めるとともに、各党、各議員、政府関係者には、政官業癒着の構造を断ち切るよう政治の浄化に全力を尽くし、多額の「カネ」で政治を動かす企業・団体献金の全面禁止をすみやかに求めるものである。