兵庫県保険医協会

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【抗議声明】8000ベクレル以下の原発汚染土再利用に抗議する

2016.07.13

2016年7月13日

8000ベクレル以下の原発汚染土再利用決定に抗議し、

撤回するよう求める

  兵庫県保険医協会

環境・公害対策部長 森岡芳雄

 福島第一原発事故に伴う福島県内の汚染土などの除染廃棄物について、環境省は6月30日、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下であれば、公共事業の盛り土などに限定して再利用する基本方針を正式決定した。この基本方針では「1m離れた場所での追加被ばく線量を年間0.01ベクレル以下に抑える」と明記している。

 しかし、原子炉等規制法に基づく規制において、原発の解体などによって発生した金属などの再生利用の基準は、放射性セシウムの場合100ベクレル以下となっており、今回の環境省の方針での基準はその80倍にもなる。

 環境省の検討会で、放射能濃度が法定の安全基準まで減るのに170年間かかるとの試算が示されており、盛り土の耐用年数は70年とされていることから考えると、道路への供用終了後も100年間の管理が必要ということになり、隔離をせずに170年もの間管理できるはずがないという指摘が出ている。

 降雨、浸食、災害などにより汚染土がむき出しになり、環境中へ大量に放出される可能性がある。管理型の産業廃棄物処分場でさえ周辺の地下水の汚染は避けることができないことが判明している中で、公共事業の基礎に使うということでは、放射能汚染を防ぐことなど到底できるものではない。また、工事中において、工事従事者や通行人や周辺住民が粉塵吸入として体内被ばくする恐れがある。

 環境省は、放射性汚染土の最終処分量を減らすために、再生利用量を増やすことを前提としている。

 われわれは、いのちと健康をまもる医療者として、放射性汚染土の最終処分量を減らすことありきで、国民への健康被害を全く考慮に入れていない原発汚染土の再利用計画を断じて容認することはできない。環境省は、汚染土などの除染廃棄物を、公共事業で利用する基本方針をすぐに撤回するよう求める。