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【声明】県行革最終2カ年プラン第1次案 老人医療費助成制度「低所得者2」の「廃止」に強く反対する

2017.01.14

県行革最終2カ年プラン第1次案

老人医療費助成制度「低所得者2」の「廃止」に強く反対する

  兵庫県保険医協会

第1051回理事会

 兵庫県は、昨年末「最終2カ年行財政構造改革推進方策[最終2カ年行革プラン(第一次案)]」を発表し、この中で老人医療費助成事業を廃止し、新制度に切り替えるとしている。旧制度から新制度への、実際上の変更点は、現行制度の「低所得者2」の所得制限に、さらに「要介護2以上」という身体的条件を追加するものである。

 県当局は、現在の「低所得者2」対象者約8千名に対して、新制度での対象者は数百人程度になるとの見込みを示している。これは、実質的な「低所得者2」区分の廃止にほかならない。

 そもそも「低所得者2」の所得制限は、「①市町村民税非課税世帯で、②本人の年金収入を加えた所得が80万円以下」というもので、生活保護水準以下の低所得者を対象にしている。これにさらに「要介護2以上」などという条件をつける必要がどこにあるのか。まさに、廃止のための要件強化といわざるを得ない。

 県が掲げる「健康寿命の延長」や、「元気な高齢者の増加」などは、「低所得者2」廃止の理由にはならない。これまで制度が想定していたのは、月額5万円程度の年金では生活することが難しく低賃金のパートタイム労働などをしている高齢者だった。今回の要件強化で、こうした高齢者が医療費負担を敬遠して受診抑制を行えば、疾病の重篤化を招くことになる。これらの人々にわずかでも医療費を補助し、受診を促すことには、疾病の重篤化とそれによる就業困難を防ぎ、生活を守るという大きな意義がある。

 井戸知事のもとで、老人医療費助成制度は、5回にわたる所得制限の強化が行われ、対象者は、前県知事時代の20万人から10分の1の2万人まで削減されてきた。

 地域医療の拡充を望む開業医師・歯科医師の団体として当会は、これ以上の老人医療費助成制度の改悪には断固反対するものであり、「低所得者2」への身体条件の追加は、撤回することを強く求めるものである。