兵庫県保険医協会

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【決議】兵庫県保険医協会 第93回評議員会

2018.05.27

兵庫県保険医協会 第93回評議員会決議
 

 

 今年の診療報酬改定は、全体で1・19%のマイナス改定となった。また、同時に行なわれた介護報酬改定も僅か0・54%のプラス改定にとどまった。これらの改定はこれまで同様、社会保障費の増加を5000億円以下に抑制するとした「経済・財政再生計画」に則ったものであり、地域医療の充実にはほど遠い改定と言わざるを得ない。

 安倍首相は経済財政諮問会議で「黒字化目標と毎年度の予算編成を結びつける枠組みを検討する」と述べ、今後も社会保障費を抑制する考えを示している。そればかりか、新たに後期高齢者医療制度の患者窓口負担を現在の原則1割から原則2割へと倍化させることや、受診時定額負担の導入、参照価格制度の導入などを具体化しようとしており、さらなる患者、国民負担増を行なおうとしている。

 政府は、日本の財政赤字の原因を社会保障費に求めているが、これは誤りである。財政赤字の真の原因は、税収不足であり、とりわけ法人税率の引き下げにより、法人税収は半減している。大企業はアベノミクスの恩恵を受けながら、更なる法人減税により、内部留保を400兆円も積みあげている。

 今必要なことは、大企業や富裕層の応分の負担で、抜本的に社会保障費を増やすことである。

 また、安倍首相は、自民党大会で「憲法に自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打とうではないか」と述べ、憲法改定に強い意欲を示している。政府が当初「ない」としていた自衛隊イラク派遣の日報が新たに発見されるなど、シビリアンコントロールが揺らいでいる。また、安全保障関連法の施行から2年が経過したが、多くの国民に情報が公開されないまま、自衛隊は米軍艦船の防御や洋上給油などを実施したことが明らかになっている。こうしたことと合わせて考えれば、安倍首相のいう憲法改定は、これまでの専守防衛を抜本的に覆し、自衛隊をアメリカ軍と一体となって世界中で軍事行動を行なうことのできる軍隊へと変質させるものである。

 私たちは、いのちと健康を守る医師・歯科医師として、格差や貧困の拡大を許さず、世界の平和と国民の生活を守る政治を実現するために引き続き全力で奮闘する決意である。

  1. 診療報酬・介護報酬を引き上げ、不合理是正を行なうこと。
  2. 生活保護基準額の引き下げなど生活保護の制度改悪を行なわないこと。
  3. 医師不足を解消するため医師数をOECD平均まで引き上げること。
  4. 患者・介護利用者負担増計画をやめること。子どもの医療費は国の責任で中学3年生まで窓口負担を無料にし、高校3年生世代まで無料を目指すこと。
  5. 消費税の10%増税を中止し、医療にはゼロ税率を導入して医療機関の控除対象外消費税負担を解消すること。
  6. 保険でより良い歯科医療実現のため、歯科技術料を正当に評価し、保険適用範囲を拡大すること。
  7. 高すぎる国保保険料を引下げ、短期保険証や資格証明書の発行をやめ、不当な差押さえを行わないこと。
  8. 薬価の高止まりや混合診療の全面解禁へと道を開く可能性の高い日米二国間協議を行わないこと。
  9. 東日本大震災や熊本地震など災害被災者に対し国の責任で支援を抜本的に強めること。
  10. 再稼働した原発を直ちに停止するとともに、さらなる再稼働・新増設・輸出を行わず、原発ゼロ政策の推進、再生可能エネルギーの拡大を進めること。
  11. 沖縄・普天間基地を無条件撤去し、辺野古沖への新基地建設計画を中止するよう米国に求めること。
  12. 平和憲法を守り、憲法通りの国づくりをめざすこと。
  13. 日本政府は唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約を批准するとともに、核保有国など条約を拒否する国に批准を求めること。

 以上、決議する。

2018年5月27日 兵庫県保険医協会