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主張 沖縄基地問題 沖縄を二度と捨て石にしてはならない

2019.08.25

 8月15日、74回目の終戦の日に多くの議員が靖国神社を参拝し、全国戦没者追悼式で安倍首相は、加害と反省に言及することなく原稿を読み終えた。徴用工問題に端を発する韓国への報復措置、参院選で見られた反対意見を叫ぶ聴衆を強制的に排除する警察の特高さながらの暴挙、表現の自由に対する犯罪的な脅迫を自治体は甘受し、警察は捜査すらしない。こんな光景に対してジャーナリズムは静観の構えを崩さず、多くの国民もまた問題意識を抑え込み、忖度の流れに身を任せている。
 そんな日本にあって、唯一政権に抗う地域が沖縄だ。沖縄県民は、昨年9月の県知事選、今年2月の県民投票、4月の衆院補選、そして6月の参院選においていずれも政府が強引に推し進める米軍の辺野古新基地建設に対して明確に「No!」の意思を示してきた。しかし、政府はこの強烈な民意を意に介すことなく、基地建設のために辺野古沿岸の埋め立てを続けている。
 沖縄は、先の大戦で日本の捨て石にされた経験を持つ。米軍が沖縄に上陸することが確実になった1945年初頭、皇土(本土)防衛の時間稼ぎのための「捨て石」とされ、米軍との激しい地上戦の島となった。この戦いには兵士だけでなく多くの民間人も駆り出され、県民の4人に1人(12万人)が亡くなったとされる。そして、沖縄を本土から切り離す「捨て石」の構図は今も続いている。
 この1年間、その構図はより鮮明になった。沖縄の負担を軽減し県民に寄り添うという言葉とは裏腹に、この道しかないと基地を押し付ける安倍政権である。改憲論議は参議院選挙結果によって民意を得たと言いながら、辺野古への投票結果は一顧だにしないという矛盾した姿勢を崩そうとしない。
 私たちは沖縄を二度と捨て石にしてはならない。イージス・アショア配備を巡って秋田ではほころびが見えた。次の捨て石を作らせないためには、辺野古を沖縄だけの問題にせず全国民が自分事と捉え、反対の意思を行動で示すことだと銘記しよう。