兵庫県保険医協会

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声明 伊方原発差し止め取り消し決定に抗議するとともに東海第二原発差し止め判決を支持する

2021.03.27

 協会は3月27日、表記の声明を発表し、関係機関に送付した。

声明

2021年3月27日

伊方原発差し止め取り消し決定に抗議するとともに

東海第二原発差し止め判決を支持する

兵庫県保険医協会

第1130回理事会

 広島高裁は3月18日、愛媛県の四国電力伊方原発4号機について運転差し止めを命じた昨年1月の仮処分決定を取り消した。一方、同日、水戸地裁は、日本原子力発電が再稼働を目指す東海第二原発について、周辺自治体の避難計画が不十分だとして、運転差し止めを命じる判決を言い渡した。

今回の広島高裁の決定は昨年1月に同高裁が差し止めを決定する理由とした火山リスク・地震リスクと規制基準の問題点について、原発の安全性を揺るがす災害等の可能性を認めながらその時期や規模は具体的に予測できず、裁判所としては住民らの声明、身体や健康が侵害される具体的危険があると認められなければ運転差し止めを命じる法的判断はできないとして、四国電力の安全対策に問題はないとした。さらにはこれらのリスクの立証責任を住民に求めた。これは92年の伊方原発訴訟の最高裁判決をはじめ、国や電力会社に立証責任を求めるというこの間の原発訴訟が積み上げてきた到達すら無視する判断である。住民の立場に立たない不当な本決定に強く抗議するとともに、今後、本審において、住民の人格権を守る判決が出されるよう求める。

一方、水戸地裁の判決は住民の避難計画の不十分さを指摘し、住民の生命や身体に深刻な被害を与えることになりかねないと人格権侵害の危険性を認めて、運転差し止めを命じた。原発の地震や津波の想定、耐震性については問題を認めなかったという点で不十分であるものの、避難計画の問題点を認定したという点で画期的であり、評価したい。

われわれは命と健康を守る医師・歯科医師として、司法には住民の命を守る判断を求めるとともに、国には原発の新増設の放棄、現存原発すべての廃炉と再生可能エネルギーへの転換を強く求めるものである。