兵庫県保険医協会

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声明 阪神・淡路大震災による石綿疾患の公務災害認定判決を支持する

2021.04.10

協会は4月10日、表記の声明を発表し、関係機関に送付した。

声明

2021年4月10日

阪神・淡路大震災による

石綿疾患の公務災害認定判決を支持する

兵庫県保険医協会

第1131回理事会

 神戸地裁は3月26日、阪神・淡路大震災後にがれき処理に従事し、悪性腹膜中皮腫で亡くなった明石市職員について、公務災害と認めなかった地方公務員災害補償基金の処分取り消しを求める遺族の訴えを認め、処分を取り消した。

判決は、公務災害の認定基準を満たしていなくても、機械的適用ではなく、「業務の特性や被災当時の環境などを踏まえて判断すべき」とし、震災の影響を正しく評価していないと、発症と公務の因果関係を認めた。

阪神・淡路大震災時の石綿飛散について、政府による白石綿だけの調査をもって、アスベスト被曝は少ないとする風潮があるが、実際には茶石綿、青石綿などのより毒性の強い石綿の大量飛散が確認されている。阪神・淡路大震災による被害を、実態に即して認めるきわめて重要な判決であり、県民の命と健康を守る医師・歯科医師の団体として、同判決を支持する。

今後、阪神・淡路大震災時の石綿曝露による被害が、業務従事者のみならず、住民やボランティアにも出てくることは確実である。政府には公務災害・労災の石綿疾患の認定基準を変更することはもちろん、震災時石綿曝露の可能性のある労働者、業務災害適応外の住民やボランティアへの検診体制、補償制度の構築を速やかに行うことを強く求める。