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【決議】兵庫県保険医協会第53回総会決議

2021.06.20

兵庫県保険医協会第53回総会決議

 

 世界中を混乱に陥れた新型コロナウイルス感染症は、これまでの社会のあり方に疑問を投げかけている。日本をはじめとする多くの国で採られてきた効率至上主義や市場原理主義は、それぞれの社会を極めて脆弱なものとしてきたことが明らかになった。日本でも新型コロナウイルス感染症の蔓延により、これまでの保健所の統廃合に代表される公衆衛生行政の切捨て、地域医療構想による病床削減、医師養成数の抑制などの医療費抑制政策の問題点が浮き彫りとなった。

 にもかかわらず菅自公政権は、こうした政治路線を転換するどころかますますその推進に固執している。今国会では病床削減に消費税財源を充てることや医師の長時間労働を合法化することを盛り込んだ法案、75歳以上の高齢者の医療費窓口負担を1割から2割に倍化させる法案を成立させた。

 また、経済の分野でも新型コロナウイルス感染症による打撃は大きいが、菅自公政権は、国民や零細事業主に対して、外出や営業の自粛要請を行うばかりでまともな補償を行っていない。一方で、一部大企業に対しては、新型コロナウイルス感染症対策関連事業等で、収益の下支えを行っている。世論の反対を無視して東京オリンピック・パラリンピック開催を強行し、多国籍大企業への利益供与を推し進めようとしている。

 さらに、国民の新型コロナウイルス感染症に対する不安を利用し、国家による国民監視をより強化しようとしている。今国会で成立したデジタル改革関連法はこれまで自治体が定めてきた個人情報保護に関する条例を骨抜きし、国家による管理・利用を容易にするものである。また、憲法審査会でも政府・自民党は緊急事態条項を憲法に盛り込むことがあたかも新型コロナウイルス感染症対策に資するかのように世論を誘導し、国民投票法を改定した。

 今、必要なことは、医療をはじめとする社会的共通資本を国の責任で支え、国民生活を豊かにする政治への転換を行うことである。今年は総選挙、兵庫県知事選挙、神戸市長選挙と多くの選挙が行われる。我々はこれらの選挙を要求実現の大きなチャンスととらえて奮闘する決意である。

 

一.     新型コロナウイルス感染症の今後の拡大に備え医科・歯科医療機関経営を保障すること。

一.     未知の新型感染症に備えるためにも医療費抑制政策を転換し、公衆衛生体制や医療提供体制を抜本的に強化すること。

一.     患者・介護利用者負担増計画をやめ、税・保険料の応能負担を強化し、医療・社会保障を拡充すること。

一.     消費税を減税し、医療にはゼロ税率を導入して医療機関の控除対象外消費税負担を解消すること。

一.     保険でより良い歯科医療実現のため、保険適用範囲を拡大し、歯科技術料を正当に評価するとともに逆ザヤとなっている金パラの償還価格を是正すること。

一.     東日本大震災や台風、豪雨など災害被災者に対し、公的補償を抜本的に強めること。

一.     再稼働した原発を直ちに停止し、原発ゼロ政策の推進、再生可能エネルギーの拡大を進めること。

一.     日本国憲法を堅持し、日本国憲法の理念が行き届く社会を実現すること。

 以上、決議する。

2021年6月20日 兵庫県保険医協会