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兵庫県保険医協会第54回総会決議

2022.06.19

兵庫県保険医協会第54回総会決議

 

 新型コロナウイルス感染症で効率至上主義や市場原理主義の弊害が露呈し、世界中でこれらが見直されつつある。日本の消費税にあたる付加価値税の減税は62の国と地域に及び、イギリスやアメリカでも富裕層への増税や法人税率の引き上げが始まっている。しかし、日本では岸田首相が「新自由主義からの脱却」を口にしたものの、「新しい資本主義」実行計画案では、「分配重視」は消え去り、「アベノミクス」の「堅持」が明記された。これまでの大企業優遇、社会保障切り捨ての政策を転換する姿勢は見られない。実際、政府は4月には年金支給額の引き下げを実施し、10月には75歳以上の高齢者の医療費窓口負担2倍化を強行しようとしている。

物価高騰による国民生活の疲弊は深刻であり、その元凶である「アベノミクス」による低金利政策、社会保障切り捨てと雇用破壊による国内消費の低迷を一刻も早く是正する必要がある。

今こそ、大企業・富裕層への応分の負担で財源を確保し、消費税を減税し、社会保障を充実すべきである。

また、ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵攻を利用して、日本の軍事大国化を狙う政治勢力が勢いを増している。自衛隊への「反撃能力」の付与は事実上、先制攻撃を認めるもので、これまでの憲法解釈をないがしろにするものである。さらに、防衛費のGDP比2%への引き上げは、社会保障費のさらなる抑制や国民負担増に直結する。なによりも軍事大国化は、日本の平和に資するものではなく、東アジアの軍事的緊張を高めて、国民を危機にさらすものであることは歴史的に明白である。今、必要なことは憲法9条に基づく平和外交の具体的実践である。

 7月には参議院選挙が予定されている。私たちは、命と健康を守る医師・歯科医師として、大企業優遇、雇用と社会保障切り捨ての政治を転換し、日本の軍事大国化を許さない政治を求めて奮闘する決意である。

 

一.     新興感染症に備えるため医療費抑制政策を転換し、国の責任で公衆衛生体制や医療提供体制を抜本的に強化すること。

一.     患者・介護利用者負担増計画をやめ、税・保険料の応能負担を強化し、医療・社会保障を拡充すること。

一.     消費税を減税し、医療にはゼロ税率を導入して医療機関の控除対象外消費税負担を解消すること。

一.     保険でより良い歯科医療実現のため、保険適用範囲を拡大し、歯科技術料を正当に評価するとともに逆ザヤとなっている金パラの保険償還価格を是正すること。

一.     東日本大震災や台風、豪雨など災害被災者に対し、公的補償を抜本的に強めること。

一.     再稼働した原発を直ちに停止し、原発ゼロ政策の推進、再生可能エネルギーの拡大を進めること。

一.     日本国憲法を堅持し、日本国憲法の理念が行き届く社会を実現すること。

 

 以上、決議する。

2022年6月19日 兵庫県保険医協会