兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2026年3月25日(2129号) ピックアップニュース

2026年度 診療報酬改定の要点〈歯科〉
歯科医療機関の窮状を救えない改定

 6月1日から実施される2026年度診療報酬改定について、特徴や問題点を掲載する(医科4・5面、歯科3面)。

 今回の改定は歯科診療行為の評価にあてられたのはプラス0.31%にすぎない。協会の運動によって一部改善があるものの、長期にわたる低歯科診療報酬に加えて、物価と人件費高騰の直撃を受けている歯科医療機関の窮状を救うものになっていない。協会は、今後も診療報酬の抜本的引き上げ、患者窓口負担ゼロの実現に向けて運動を強めていく。
 以下に主な改定のポイントを紹介する。詳細は4月上旬にお送りする『2026年改定の要点と解説』冊子を参照いただきたい。
1.歯科初再診料
1)物価高騰への対応として、歯科初診料および地域歯科診療支援病院歯科初診料が5点、歯科再診料および地域歯科診療支援病院歯科再診料が1点引き上げられた。
2)歯初診の施設基準を満たす研修の項目に「抗菌薬の適正使用」が追加された。再届出は不要。すぐに受講しなくてもよいが、追加項目を含めた常勤歯科医師の4年以内の受講が必要である。近畿厚生局への8月1日定例報告が廃止されたが、受講を確認できるものを保管する。
3)医療情報取得加算と医療DX推進体制整備加算が統合され、電子的歯科診療情報連携整備加算1・2に再編された。施設基準があり、電子処方箋の発行体制や診療情報の共有ネットワークについては、いずれかを満たす場合に加算1を届出し、いずれも満たさない場合は加算2を届出する。届出をすれば、明細書発行体制等加算が算定できなくなる。
2.歯科物価対応料
 物価上昇に段階的に対応するためとして、歯科物価対応料が新設された。歯科外来物価対応料は、施設基準の届出はなく、すべての歯科医療機関で入院外の患者に対して初診時3点、再診時1点を算定する(2027年6月からは2倍の点数)。歯科訪問診療時は算定できない(医科では算定できる)。
3.歯管、小機能、口機能
1)歯科疾患管理料(歯管)の初診月の減算は廃止されたが、100点から90点に引き下げられた。初診月から算定する場合は、改定前と比べて3カ月目以降がマイナスになり、長期に管理するほど影響が大きくなる。有床義歯に係る治療のみの患者にも算定できるようになった。
2)口腔機能管理の対象基準の見直し
 ①小児口腔機能管理料(小機能)が小機能1 90点と小機能2 50点に分けられた。口腔機能の評価項目において3項目以上に該当する口腔機能発達不全症患者は小機能1を算定する。2項目に該当する口腔機能発達不全症患者には、これまで歯管のみの算定だったが、小機能2を算定し、歯リハ3(1)も算定できるようになった。
 ②口腔機能管理料(口機能)が口機能1 90点と口機能2 50点に分けられた。下位症状3項目以上に該当することを、五つの検査のうちいずれかを算定して確認した口腔機能低下症患者には口機能1を算定する。検査を算定せずに確認した口腔機能低下症患者には、これまで歯管のみだったが、口機能2を算定し、歯リハ3(2)も算定できるようになった。口機能検査関連の施設基準が廃止された。
4.歯周病治療
1)歯周病安定期治療(SPT)と歯周病重症化予防治療(P重防)が統合され、歯周病継続支援治療に再編された。歯管や在歯管、特疾管の患者に加えて、周Ⅰ~Ⅳおよび回管を算定している患者も対象となった。糖尿病患者に対する歯周病ハイリスク患者加算80点は、重症化予防連携強化加算(100点)に名称が変更され、他の医科保険医療機関の主治医から文書での情報提供を受け、歯科治療や治療方針などの情報提供を行うことが算定要件に追加された。
2)歯周病患者画像活用指導料(P画像)は、口腔内写真を撮影し指導する口腔内画像(P画像1)と、位相差顕微鏡により描写された画像などを用いて指導する顕微鏡画像(P画像2)に分けられた。P画像1は口腔内カラー写真の撮影枚数に関わらず50点を、P画像2は1回に限り50点を算定する。P画像1とP画像2は併せて算定できる。
3)歯周治療用装置は、装置の形態に応じて暫間歯冠補綴装置と口腔内装置に区分が変更された。冠形態のものは暫間歯冠補綴装置48点となり、2点引き下げられた。床義歯形態のものは、口腔内装置2に位置付けられ、80点引き上げられた。
5.有床義歯
1)新製有床義歯管理料(義管)の算定単位が1口腔から1装置に、点数項目が局部義歯の場合か総義歯の場合かに変更され、いずれも140点となる。義管と歯リハ1の同日算定ができるようになった。
2)有床義歯補強加算150点が新設された。9歯欠損以上の局部義歯または総義歯の新製時に、歯科技工士が歯科用金属芯を埋入した場合に算定する。
3)局部義歯に用いる特定保険医療材料について、鋳造鉤・コンビネーション鉤・鋳造バーは、基本的に鋳造用コバルトクロム合金を使用することとされた。線鉤は、基本的に不銹綱および特殊鋼を使用することとされた。
6.在宅歯科医療
1)同一建物に居住する1人の患者に訪問診療を行った際に、患者と同一建物に居住する他の患者などの求めに応じて緊急の必要性を認め、結果として2人目に訪問診療を行った場合は、それぞれ訪問診療1を算定できることになった。
2)訪問診療4・5の施設基準が新設された(届出は不要)。歯援診1・2、歯援病も施設基準を満たしていない医療機関は、50/100に減算される。
3)歯援診1の施設基準が変更された。再届出は不要だが、8月報告は必要。
4)在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料(NST)は、歯科医師だけでなく、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が指導を行った場合にも算定できることになった。カンファレンス、食事観察、会議および口腔機能などにかかる指導は、対面でなくてもオンライン参加のみでも可能となった。また、NST4(100点)が新設され、自宅で療養している歯在管、訪問口腔リハ、小児訪問口腔リハを算定している患者に、食事観察などの結果を踏まえ、患者または看護者に口腔機能評価に基づく指導を行った場合に算定できる。
7.歯冠修復・欠損補綴
1)CAD/CAM冠とCAD/CAMインレーについて、材料(Ⅲ)を用いる大臼歯の咬合支持要件が廃止されるとともに、8番を含むすべての大臼歯に適用できるようになった。永久歯代行の乳歯が適用に追加された。
2)純チタンを用いるチタンブリッジ2,800点が新設された。1歯中間欠損の3歯ブリッジが対象となる。
3)補管の対象に新設のチタンブリッジと歯科用金属アレルギー患者に装着するHJCとCAD/CAM冠が追加された。
4)光学印象が150点に引き上げられ、CAD/CAM冠が適用になった。
5)小児保隙装置が、クラウンループまたはバンドループを装着した場合の固定式保隙装置と、床義歯形態の装置を装着した場合の可撤式保隙装置に再編された。
6)テンポラリークラウン、リテーナー、歯周治療用装置(冠形態)、レジン連結冠固定法による暫間固定が暫間歯冠補綴装置(48点)にまとめられた。抜歯や外傷などによる前歯部1歯欠損に歯科用暫間被覆冠成形品をエナメルボンドシステムにより連結固定した場合も新たに評価された。
7)期中で保険導入された3次元プリント有床義歯(3DFD)が準用点数から独立した。印象採得、咬合採得、仮床試適、装着などは所定点数に含まれる。施設基準の届出が必要。
8.処置・手術
1)除去に新設された補綴物などが追加されたほか、メタルコア、支台築造用レジンを含むファイバーポスト、ポストを有するキーパー付き根面板はポストの長さに関係なく「著しく困難なもの」で算定することとなった。
2)加圧根充が11~17点引き上げられた。また、3根管以上の加圧根充に加算するNi-Tiロータリーファイル加算の算定要件からCT撮影が削除されたため、デンタルの撮影で可となった。
3)象牙質レジンコーティングは歯冠形成から装着までの間の算定だったが、歯冠形成から印象採得までの間の算定に変更された。
4)知覚過敏処置が歯冠形成、印象採得、咬合採得、仮着、装着と同時に行った場合も算定できるようになった。
5)抜歯手術における骨性の下顎完全埋伏智歯、下顎水平埋伏智歯の加算点数が230点になった。
9.麻酔
 歯髄温存療法、直接歯髄保護処置、生PZに対する麻酔薬剤料が算定できるようになった。
10.検査・画像診断・投薬
1)画像診断における「同一の部位」「同時に」などの定義が新たに示された。処置または手術後の評価を目的として撮影した場合は「同時」に該当しないとされ、その場合の診断料は100/100で算定する。
2)口腔粘膜湿潤度検査が新設された。加齢等による口腔機能の低下を来している患者に3カ月に1回130点算定できる。
3)処方箋料の一般処方名加算1・2がそれぞれ2点引き下げられた。また、残薬対策の推進を図る目的で処方箋様式が見直された。
11.医科歯科連携
1)周計・回計は、管理計画の修正を行った場合の評価として、周計2 150点、回計2 150点が新設された。
2)連携を行っている歯科標榜のない医科医療機関からの依頼で入院患者に訪問診療した場合の評価として、医科連携訪問加算500点が新設された。施設基準はあるが届出は不要。初回の訪問診療時に1回に限り算定する。
12.歯科ベースアップ評価料
 「歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)(Ⅱ)」が継続され、点数が引き上げられるとともに継続的に賃上げを行っている否かで点数差が設けられた。引き続き算定を行う場合にも、届出直しが必要。届出時の賃金改善計画書は作成不要となり、毎年8月に前年度の実績報告書と今年度の中間報告書を提出する。
13.歯科衛生士に関わる改定
1)歯科衛生実地指導料の口腔機能指導加算が削除され、口腔機能実地指導料46点として新設された。口腔機能発達不全症および口腔機能低下症の実地指導に係る研修を受講した歯科衛生士が、歯科医師の指示を受けて、口腔機能に係る指導を行い、文書提供した場合に算定できる。施設基準が設けられ、2027年5月までの経過措置がある。指導を行う歯科衛生士の処遇改善に係る取組を行うことが施設基準に示された。
2)訪問歯科衛生指導料は、単一建物患者数が1人の場合と2~9人の場合は引き上げられ、10人以上の場合は引き下げられた。また、特別の関係にある医療機関で実施した場合は患者の人数にかかわらず、所定点数に代えて140点を算定することとなり、引き下げられた。
14.歯科技工士に関わる改定
1)歯科技工士との連携を評価した歯技連の対象に補綴時診断料が追加された。また、印象採得の歯技連の対象に前歯部のブリッジ(小臼歯部を含む)が追加された。光学印象への加算は、光学印象歯科技工士連携加算から歯技連に変更され、これまで対面の場合に限られていたが、情報通信機器を用いた場合に歯技連2が算定できるようになった。
2)歯科技工所ベースアップ支援料(1装置につき)15点(2027年6月以降30点)が新設された。補綴物等の製作を委託した保険医療機関が、委託先の歯科技工士の賃金改善を支援する場合、歯科技工所と連携の上で施設基準の届出を行い、技工物の装着料を算定する日に算定する。装着料が所定点数に含まれる場合は、当該点数の算定日に算定する。算定した点数は全て歯科技工所への委託費の増額に充て、毎年8月に近畿厚生局に実績報告書を提出する。
3)歯冠修復および欠損補綴の通知において「保険医療機関においては、その趣旨を踏まえ、歯科技工の委託に当たって、製作技工に要する費用および製作管理に要する費用の決定については、保険医療機関と歯科技工所の相互の連携に基づき行うこと」と7:3告示について明記された。また、歯科技工士連携加算1・2において「算定するにあたっては、歯科技工士の処遇の改善等に資するよう留意すること」が追加され、歯科技工所ベースアップ支援料において賃金改善支援の取り組み状況の報告が求められるなど、処遇改善等にかかる体制が求められた。
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