2026年3月25日(2129号) ピックアップニュース
東京電力福島第一原発事故から15年にあたりメモリアル集会
原発ゼロ・再エネ100%の社会は可能
(上)原発ゼロ社会への展望を描こうと語った大島教授
(下)事故により兵庫県・近畿に避難し、国・東京電力に損害賠償を求めて訴訟を闘っている原告らが「原発事故に遭う次世代を生みたくない」と訴えた
大島教授は、日本の原子力政策について、事故後、民主党政権が「原発ゼロ」を掲げたが、その後の自民党政権で「原発の低減」にトーンダウンし、2022年の福島原発事故国家賠償訴訟の最高裁判決で国の法的責任が認められなかったことを契機に積極的推進に転じたと振り返った。この判決について、関わった裁判官が退官後、東京電力の代理人弁護士が所属する法律事務所の顧問に就任したと利益相反の可能性を指摘した。
原発の経済性について、以前4000億円程度とされていた原発1基の建設費は1兆~2兆円規模にまで上昇し、加えて事故リスクもあることから、民間銀行は融資に慎重になっており、国が電力会社を支援する仕組みとして「脱炭素電源オークション」を導入し、消費者の電気料金で原発を支えることになっていると解説した。
また、福島第一原発を訪れた経験を紹介し、原子炉内部には燃料デブリが残されたままで、低レベル放射性廃棄物だけでも約28万トンと通常の原発廃炉時の数十基分に相当する規模になり、事故収束・処理の展望は全く見えていないことを示した。
一方、世界では再生可能エネルギーの導入が急速に進んでおり、日本でも再生可能エネルギー100%は実現可能だが、日本ではこの事実がほとんど知らされていないとし事故の教訓や原発のコスト、再生可能エネルギー100%の社会は可能であることを皆に広く知らせていくことが重要であると締めくくった。
[談話] 東日本大震災・福島第一原発事故15年
事故を振り返り、改めて原発からの撤退を訴えよう
環境・公害対策部長 森岡 芳雄
2011年3月11日の東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から15年。
発災直後は報道もそれなりにはありましたが、現在、被災地の現状を広く深く報道するものは限られているように思えます。15年が過ぎても燃料デブリの取り出しへの道筋は見えず、福島県が発表している避難者は2万3千人、政府による「自主避難」という被害矮小により、さらに多くの方が避難生活を強いられています。事故原因も解明されたとは言えず、高濃度放射能汚染による「帰還困難地域」は存続し、「原子力緊急事態宣言」も解除されていません。膨大な汚染水が日々発生し海洋に投棄され続けています。被災者の生活・生業は元通りには復旧しておらず、人口流出と高齢化は加速度を増し、「ふるさと」は奪われたままです。
しかし政府は事故が収束し汚染が解決したかのように、また、追加安全措置により原発の安全性が極端に改善したかのように、新たな安全神話を構築し、原発の再稼働、新増設を推し進めています。昨年定められた第7次エネルギー基本計画では、電力需要の増大・温暖化対策を理由に、原発の「最大限活用」を掲げ、老朽原発を60年超稼働できるようにルールを変え、新増設も認めるなど、事故の反省から定めた原発縮小政策を完全に転換しました。
今年、事故の加害者である東京電力が、柏崎刈羽原発を再稼働しました。政府と電力各社は、「安全性」をアピールしますが、根拠となるデータの捏造や安全管理体制の不備、老朽化によるトラブルが次々と明らかになっています。
この15年の間にも国内では大地震が頻発し、住民のいのち・暮らしを脅かしています。特に、2024年1月に起きた能登半島地震は、「想定外」の地震が原発近くで起こり得ること、避難計画がずさん極まりない絵空事であることを改めて示しました。
私たちはいのち・健康をまもる医師・歯科医師として、事故による甚大な被害を引き起こす可能性を内包し、処分方法が未確立な放射性廃棄物を排出し続ける原発の全廃と新増設の禁止が必要であると考え、原発廃炉を求め続けてきました。
政府・電力各社は電力需要増や温暖化対策などに原発は必要であると繰り返し宣伝していますが、再生可能エネルギー中心に転換し、省エネ等を推進することでこれらが達成できることは明らかになっています。また、原発は温暖化対策でもコスト面でもメリットがないことは専門家の試算で明らかになっています。
15年という節目にあたって、今一度、事故の実状に鑑み、原発の危険性を訴え、行動していきましょう。



