兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2026年7月05日(2137号) ピックアップニュース

燭心

 2026年のハーバード大学卒業生代表のスピーチを聞いた。演者は父親がユダヤ教徒で、母親がキリスト教徒で結婚後ユダヤ教徒に、母方の祖父はイスラム教徒という家庭で育ったノア・エクスタイン氏である▼彼の分析によれば、現在の社会は物事を二つの対立軸で考え、どちらの立場なのか明確にすることを求めている。そこでは歩み寄ることよりも、他者を論破すること、自己の優位性を主張することを是としているように思えると結論した。対立する宗教、信条、政党などなどすべてをその対立軸で見ようとしている▼彼はメッカに向かって礼拝する祖父を見て、エルサレムに巡礼する父、十字架をもって祈る祖母をそのまま受け入れて生活してきた。大事なことは、自分が常に正しいのではなく間違っているかもしれないとした上で、相手の立場になって考え理解しようとすることである、と強調した。さらに理解した上で、相手を否定するのでなく、折り合う部分を見つけることが大事であると説明した▼他方先のアジア安全保障会議で、中国代表からの日本の軍備拡大に対する非難への、小泉防衛大臣の発言は、二国間の立場の違いに理解を示すことなく、わが国の立場を強調したにすぎず、対立の溝はさらに深くなったと思われる。この発言は日本では称賛されているものの、どのような立場であっても、エクスタイン氏のように、相手への理解と尊敬の念をもって接することが、争いのない世界を築く一歩ではないだろうか(際)
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