兵庫県保険医協会

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学術・研究

医科2015.10.25 講演

第24回日常診療経験交流会演題より
[保険診療のてびき] 残薬再利用の調査によりみえてきたもの

東灘区・東神戸薬局  山口扶左子(薬剤師)

はじめに
 2012年度の診療報酬改定において、薬剤服用管理指導料の算定用件に「残薬確認」が追加されました。残薬確認は薬剤師の重要な業務の一つであり、なぜ薬が残ってしまったのかを明確にすることは、患者さまのアドヒアランスの向上につながります。また、残薬を再利用することで患者さまの自己負担の軽減、医療費の削減にも寄与できます。
当薬局での取り組み
 当薬局では2014年1月より、薬局オリジナルの残薬回収袋を患者さまにお渡しし、次回来局時に残薬を持ってきていただくように指導するとともに、残薬持参を促すポスター(オリジナル)を待合室に掲示して、残薬調整を行っていることを患者さまに案内し、啓発活動に努めています。
 残薬回収袋は、A4サイズのチャック付ビニール袋に持参時の注意や患者名記入欄の入った用紙を入れて、患者さまにお渡しします。薬袋に入ったまま回収袋に入れていただくことで、投薬日や服用方法を確認して再利用することができます。
 また、1回で使いきれなかった薬は患者さまの同意を得て、この袋のまま薬局でお預かりして、次回以降に再利用しています。
 今回2014年9月と10月の2カ月間で残薬調整を行った事例を調査し、①残薬の傾向を分析して患者さまのアドヒアランスの向上につなげる、②患者さまの薬代軽減と経済効果について分析し医療費削減の寄与を考察する、③当薬局作成の残薬回収袋の効果を検証しましたので報告させていただきます。
残薬調整の効果
 9月も10月も、ともに1カ月の処方箋枚数の約1%において、残薬調整を実施していました。残薬調整を実施したうちの重複投与防止加算を算定した割合は、9月は66%、10月は68%で、残薬調整をすることにより、およそ7割近い処方が重複投与防止加算の算定につながっています。
 (1)の残薬の傾向としては、やはり分3の薬が多く、3回きっちり服用することの難しさがうかがえます。また、服用や使用を調整する頓服や外用薬も多く残っていました。反対に、今回は眠剤の残薬調整はありませんでした。眠剤は日数制限のある薬が多いことや、患者さま自身が予備として持っていたいという気持ちがあると考えられ、過量服用に注意が必要です。
 (2)の患者さまの自己負担軽減額は101円〜500円が一番多くみられ、1割負担の処方の86%が500円以下の軽減でした。今回の調査で自己負担額軽減が一番高かった方では、1回の残薬調整で3470円の軽減となりました。
 経済効果としては9月と10月の2カ月間で、合わせて241,550円の国の医療費の削減につながりました(図1)。1年間にすると約120万円の医療費を削減できることになり、残薬調整が医療費削減につながることが明らかとなりました。
 (3)の残薬回収袋の効果として、導入前は残薬調整数が1カ月平均20件でしたが、導入後は待合室のポスター効果も手伝って45枚前後と倍増していることが分かりました(図2)。
おわりに
 残薬調整をする際には、なぜ残薬が出たのか?ということを考え、服用率を高めることのできるような窓口での指導や、処方設計の提案をする必要があります。残薬の再利用は煩雑で時間も手間もかかり、待ち時間の増加や調剤業務の停滞など大変なことも多いですが、今後も患者さまへの声掛けや聞き取りに力を入れることで、真の服薬コンプライアンスを把握し、ポリファーマシー対策や、服薬率の向上による残薬数の減少に努めるとともに、残薬を有効活用して医療費の削減につなげていきたいと思っています。
※調査データは2014年時のもの
(2015年10月25日第24回日常診療経験交流会分科会より、小見出しは編集部)
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