兵庫県保険医協会

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当協会について

理事長挨拶

新年挨拶 2023年1月

2023年新年あいさつ
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理事長 西山 裕康

 昨年中は、協会の諸活動にご理解、ご協力いただきありがとうございます。

 昨年は新型コロナウイルス感染が、度重なるワクチン接種にもかかわらず、第6波、7波と拡大し、私たちの日常に大きな影響を与え、闘病、療養、休業、行動制限などにより、不自由な生活を余儀なくされた会員や従業員も少なくありませんでした。

 感染予防と日常生活や経済活動の両立は難題ですが、医療者としては、それぞれの機能分担と役割のなかで、新型コロナはもちろん、通常の医療、救急医療においても早期受診・診断・治療が妨げられることのないように、関係機関とも密に連携し、患者さんの命と健康を守るために一層の努力をしていきましょう。

 さて、コロナ感染症は、当初に比べると、重症化率や死亡率は少なくなったと考えられていますが、刻々変化する状況を踏まえ、これまでのコロナ対策を科学的に分析、評価し、今後に生かしていかなければなりません。

 一方で、平時より余力の少ない病床数、医師数、診療報酬、保健所体制が、いわゆる「医療崩壊」の大きな一因であったこと、その根本原因が長く続けられた「医療費抑制政策」であり、それを支えてきたのが「新自由主義」であることは忘れてはなりません。

 新自由主義とは、「競争志向を正統化するための市場原理主義からなるグローバル化を前提とした経済政策」であり、具体的には、市民の自由や権利より資本の自由な活動を優先、市場の公平性確保のための規制緩和、競争を促進しトリクルダウンに期待、小さな政府として(交通・通信、教育・医療・福祉などの)公共部門の縮小と民営化、労働者保護廃止と雇用の流動化、均衡財政、再分配機能の低下、グローバリゼーション(自由貿易)による国際的な分業体制などを特徴としています。

 行き過ぎた新自由主義の結果、格差拡大が容認され、負け組は自己責任となり、嫉妬・恨みにより国民が分断され、社会が不安定化し、目先を変える「国家主義」が伸長しかねません。

 医療・社会保障の原則は、「能力に応じて負担し、必要に応じてサービスを受け、結果として所得再分配機能を持つ」ことです。そして所得再分配は社会を支える重要な機能であり、新自由主義とは相いれません。

 国民皆保険制度は、単に健康保険証を持っているだけでなく、「全国民」に「必要かつ適切な保険医療」を提供可能とする「医療体制」の3つが、実質的に整備、達成されていなければなりません。その点から、患者窓口負担の増加、病床削減の推進、拙速で強引なマイナンバーカードによるオンライン資格確認、健康保険証の廃止、「かかりつけ医」の制度化・法制化などは、地域医療に混乱をもたらし、患者さんの受診抑制を招くため、国民の健康と命を守る医療者としては賛成できません。

 なかでも、患者窓口負担増による低所得者中心のアクセス抑制は、医療を自己診断、自己治療、自己責任の世界に追いやるとともに、公共性の高い医療から公平性を奪い、国民の分断さえ招きかねません。

 協会は「役に立つ、頼りになる協会」として「開業医の生活と権利を守り」「患者・住民とともに地域医療の充実・向上をめざす」目的の達成にむけ、一層精力的に活動したいと考えております。

 今年は、希望にあふれ、私たちの生活が好転し、うさぎのように大きく飛躍する年になって欲しいと願っています。

 皆さまのご理解とご協力、ご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。

評議員会挨拶 2023年5月

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兵庫県保険医協会
理事長 西山 裕康

 本日はお忙しい中、第101回評議員会にご出席いただきありがとうございます。また、平素は評議員として、協会の活動にご理解とご協力を賜り感謝いたします。最近の情勢と協会活動について、若干の所感を述べさせていただきます。

 まずは、コロナ感染症に関して、です。

 コロナ感染症は、昨年には第6波、第7波、今年1月には第8波が広がりました。幸い重症率、死亡率は低下し、ウイルスの弱毒化に救われた面もあります。

 その後感染者数は下げ止まっていますが、直近では「いよいよ増えてきたなー」というのが実感で、第9波が懸念される中、この5月に感染症法上の区分を5類へ変更しました。

 5類化したからと言ってウイルスが消失したり、弱毒化したりするはずもなく、患者登録や追跡の簡素化、個人の判断にゆだねる外出自粛、検査や診療の自己負担化、対応医療機関の拡大による患者の拡散、患者の定点把握などにより、感染者が潜在化し、感染状況が見えにくくなっています。

 夏には再びピークを迎えるものと推測され、ウイルスの変異による新たな脅威も否定できないため、状況変化への即応体制が必要です。

 日夜、県民の命と健康を守るため、第1線の医療を掌る会員の皆様にはこれまでの努力に敬意を表するとともに、一層ご尽力いただきますようお願いいたします。

 次にコロナ対応の科学的な分析の必要性について、です。

 コロナは3年間に8回のピークを形成し、後になるほど感染者が増加し、病床逼迫に伴う入院制限のため、自宅療養が余儀なくされ、自宅や施設での「留め置き死」がみられ、医療崩壊と呼ばれる状況にいたりました。

 ピーク時には1日約26万人の新規感染者がみられ、累計3381万人が感染し、およそ7万5千人が無くなったとされています。

 感染者数・死亡者数から見ても、社会生活・経済活動への影響から見ても、コロナ感染症は未曽有の災害と言えます。

 対して政府は専門家のアドバイスのもと、多方面にわたる感染対策を行ってきましたが、防げた感染や死亡は無かったのか、科学的な検証が必要です。

 当初の「中国からのインバウンドを意識した水際対策」「ダイアモンドプリンセス号での不用意な対応」に始まり、「PCR検査の抑制」「唐突な全国一斉休校」「4回に及ぶ緊急事態宣言」、「GO TO トラベル」「蔓延防止措置」「1年遅れの東京5輪開催」「遅れたワクチン接種」「外国人観光客受け入れ再開」などがあり、さらには税金の無駄使いと言われる「接触確認アプリ」「アベノマスク」など、首をかしげたくなるような対応策は少なくありませんでした。

 社会的・経済的な影響に関しては、その評価と結論を得るのはいささか困難ですが、少なくとも感染症対策としての、「PCR検査や抗原検査による診断」「治療の効果と副作用」「感染後の後遺症」、そして、「隔離、収容、療養期間、行動制限」、さらには「HER-SYSの功罪」「ワクチン接種体制」「ワクチンの効果と副作用」などについて、いったい何が良くて何が悪かったのか。それらをデーターとサイエンスに基づいて明らかにし、来るべき新興感染症に対して、同じ過ちを繰り返さないようにしないといけません。

 「何とか乗り越えた」などと一息ついている場合ではありません。

 コロナ感染症は、医療機関に深刻な打撃を与え、医療提供体制の脆弱さから、多くの国民の命や健康を奪い、すべての国民の日常生活に大きな不自由を強いて、経済的困窮を招きました。そのうえ国民の膨大な血税を費消し、この3年間で何を得たのか。国民に明らかにすべきです。

 多くのデーターを有しているのは政府と専門家会議です。責任問題になるからと言って、自らによる分析ができないのであれば、データーをオープンにし、独立機関による検証も必要と考えます。

 次にコロナ禍での協会活動に関して、です

 協会はこの1年間、コロナ対応を中心に「会員アンケート」を4回行い、マスコミ発表、関西テレビ、ラジオ関西での放送なども活用し、会員の現状と要求を内外に発信しました。

 また、新型コロナ関連の支援金、補助金等の申請、診療報酬の特例を中心に会員への対応を強化し、直近では急激な物価高に対して、医療機関などへの財政措置を緊急要請し、不十分ながらも一定の拡充が実現されました。

 協会は、コロナ禍での医療機関の窮状に対しては、一貫して医療機関の「減収補填」、補助金・支援金の拡充、また根本的な要求として「診療報酬」の大幅引き上げ、医療費の総枠拡大、医療提供体制の強化を掲げています。

 コロナ感染症は「現在進行形」であり、協会のアンケートでは、約7割の医療機関が以前と同様のコロナ対応を行うと回答し、医療機関の負担が軽減されない限り、現場の努力に見合う十分な診療報酬、補助金が必要です。

 同時に受診抑制を来たし、病気を「自己診断・自己治療・自己責任」に追いやる「患者窓口負担増」への反対にも取り組み、患者窓口負担「ゼロの会」にも積極的に参加しました。

 「診療報酬の大幅引き上げ」と「患者窓口負担軽減」は協会の基本的な主張です。

 次に、オンライン資格確認と保険証廃止に関して、述べさせていただきます

 「オンライン資格確認義務化」と「保険証廃止」に対して協会は、「マイナンバーカードには、きわめてセンシティブな個人情報が紐づけられ、その保険証利用は、情報漏洩のリスクを増大させ、その責任を医療機関が負うことなりかねない危険性」を有するため、反対の立場です。

 もちろん個人の「選択の自由」は尊重しながら、「対応困難な会員のため」の活動を重視し、多岐にわたる取り組みを迅速に進めてきました。

 具体的には、オンライン資格確認システムの解説と具体的な対応方法に関して情報提供する一方で、会員の要求実現のために、署名活動、中央要請行動、担当省庁との交渉を重ね、さらには、政策部、保険診療法制研究会で法的措置も検討し、兵庫県弁護士会会長への要請を行い、東京保険医協会の訴訟にも協力しています。

 ここで、ご理解願いたいのは「義務化反対」の旗を高く掲げていますが、同時に変化に前向きに対応する会員医療機関への支援、制度改善への要求も力強く進めている点です。

 現在G7広島サミットが開催中ですが、首相は「G7は自由と民主主義、人権、法の支配を共通の価値とする」と謳っていますが、議長国である日本において、保険証廃止によるマイナンバーカードの強制取得に見られるように、これらの原則がないがしろにされています。

 その場しのぎの時々の解釈や、閣議決定、大臣の一言、国会での不十分な議論等で大きな方向が決定される状況は、議会制民主主義や法の支配を軽んじるものです。

 以上まだまだ述べるべき点はございますが、時間の都合もありますので、この後は武村副理事長よりご説明させていただきます。

 私ども執行部は、医科歯科一体となり、よりよい協会、よりよい地域医療を目指して一層努力したいと思います。皆さまのご理解、ご協力をお願い申し上げます。

 それでは、このあと、評議員会議案に関しまして、忌憚ないご意見、活発なご討議のうえ、次期役員部の改選を含め、ぜひご承認いただくようお願いし、ごあいさつとさせていただきます。

 ご清聴ありがとうございました。

総会挨拶 2023年6月

 本日はお忙しい中、第55回総会にご列席いただき有難うございます。また、会員の皆様には、平素より協会の活動にご理解・ご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。

 最近の情勢と協会活動について、若干の所感を述べさせていただきます。

 まずは、コロナ感染症に関して、です。

 コロナ感染症は、先月5類へ変更しましたが、感染者数の明らかな増加がみられ、第9波が懸念されます。ウイルスの変異による新たな脅威も念頭に、状況変化への即応体制が必要です。

 コロナ感染症は、感染者数・死亡者数から見ても、社会生活・経済活動への影響から見ても、未曽有の災害です。

 全国の医療機関に深刻な打撃を与え、医療提供体制の脆弱さから、多くの国民の命や健康を奪い、すべての国民の日常生活に大きな不自由を強いて、経済的困窮を招きました。そのうえ国民の膨大な血税を費消しました。

 この間、政府は多方面にわたる感染対策を行ってきましたが、事後の検証が不十分です。

 社会的・経済的な影響に関しては、対策の評価と結論を得るのはいささか困難ですが、少なくともワクチンを含めた医学的な対策に関しては、この3年間で何を得たのか。

 国が所持している膨大なデーターをサイエンスに基づいて分析し、来るべき新興感染症に対して、同じ過ちを繰り返さないように、その結果を医療関係者や国民にはっきりと示すべきです。

 次に、コロナ禍での協会活動に関して、です

 協会は、コロナ対応を中心に「会員アンケート」を重ね、マスメディアを通じ、会員の現状と要求を内外に発信し続けました。

 コロナ感染症は「現在進行形」であり、協会アンケートでは、約7割の医療機関が以前と同様のコロナ対応を行うと回答しており、疲弊している現場の努力に見合う十分な診療報酬、補助金が必要です。

 同時に受診抑制を来たし、病気を「自己診断・自己治療・自己責任」に追いやる「患者窓口負担増」への反対にも取り組み、患者窓口負担「ゼロの会」にも積極的に参加しました。

 また、コロナ禍の下でも積極的に組織・共済活動に取り組みました。

 入手困難な衛生用品のあっせんや、補助金や診療報酬特例に関する会員へのサポートなどにより、多くの医療機関から信頼を得て、役員・会員の紹介等も通じて、多くの先生方に新たにご入会いただきました。

 とりわけ、県内の公的病院にも「役に立つ、入ってよかった」協会の実績は広がりをみせ、「県立はりま姫路総合医療センター」「県立尼崎総合医療センター」「県立淡路医療センター」「県立がんセンター」という4つの県立病院にご入会いただき、県内347病院のうち289病院が会員となり、病院組織率は83%となりました。

 次に、診療報酬に関して申し述べます。

 来年には、「診療報酬」「介護報酬」「障害福祉サービス等」の報酬が同時となる、いわゆる「トリプル改定」が行われます。

 エネルギー価格の高騰や人件費の上昇により、医療機関の支出は増加しています。

 一方収入は、診療報酬という公定価格であり、一般企業のように価格に転嫁することができません。

 診療報酬の約半分は800万人の医療・介護分野の従業員の給与の原資であり、診療報酬の増加無しには、政府の求める賃上げにも対応不可能です。

 また、医療機関の余剰利益は、一般株式会社のように株主配当には回せず、すべてが医療への再投資に使われます。

 この点、診療報酬の引き上げは、国民の生命と健康を守るために、地域医療の充実のために不可欠です。

 ところで、令和5年度予算において、防衛費が国の歳出に占める割合はどれくらいかご存じでしょうか。

 実は「防衛力強化資金繰入」を合わせると約10%となり、社会保障32%、地方交付税交付金14%に次ぐ規模であり、公共事業の5.3%、文教・科学振興費4.7%の倍以上です。

 医療社会保障を削ってまで、専守防衛から逸脱するような防衛費増には、国民の命と健康を守る私たち医師・歯科医師は決して賛成することはできません。

 では財源をどう考えるか

 「トリプル改定」では、社会保障充実のために、財源確保が求められます。

 診療報酬の引き上げ要求に対しては、長い間「財源は無い」と思い込まされてきましたが、防衛費財源について、「先に金額ありき」で「根拠のない確保策」、しかも後回しの「見切り発車」を見れば、憤りを感じずにはいられません。

 社会保障の原則である「能力に応じた負担、必要に応じた給付、そして再分配機能」の徹底こそ必要であり、その点大企業が積み上げた内部留保は、国民と異なり、極めて高い負担能力を示しており、大きな財源となりえます。

 また、公的医療保険の財源は、税と社会保険料と患者負担の3つですが、税・社会保険料いずれにおいても、逆進性の解消と累進性の強化が必要であり、さらに受益者負担ならぬ受難者負担である「患者窓口負担」はゼロを目指すべきです。

 「診療報酬の大幅引き上げ」「患者窓口負担軽減」「能力に応じた負担」は協会の基本的な主張です。

 続いて、オンライン資格確認と保険証廃止に関して、です。

 協会や保団連のアンケートを契機に、マイナンバーカードによる資格確認の不具合が明らかになり、マスコミでも大きく取り上げられ、国民からの信用は失墜しました。

 そもそもシステムの利用率はわずか2%で、「マイナ保険証」は必要ないというのが現場の実感です。

 「カードの普及」が目的化し、システムトラブルが頻発しているのに、アクセルだけを踏み続け、小さなトラブルを後回しにする対応は許されません。

 特に医療に関する個人情報は、決して人には知られたくない、知られてはならない情報であり、その「取り違え」は、命と健康に危険を及ばすため、トラブルは「ゼロ」が必須条件です。

 また、このような脆弱なシステムに、多くの医療・介護・健康情報が統合・活用されようとしていますが、取り返しのつかない情報漏洩が拡大する危険性があります。もちろん国は責任をとりません。

 法案は成立しましたが、保険証廃止は撤回すべきで、決してあきらめず次の一手を推し進めたいと思います。

 最後は、日本経済の低迷に関して

 そもそも過去30年間低迷してきた日本経済は、決して雨や風のような自然現象ではなく、その時々の政策の結果です。

 その期間の大半において、国家の舵を取り、国民を誘導してきた現政権に、果たしてこれからも任せて、飛躍的な成長、少なくとも先進国と肩を並べるような成長を期待できるのでしょうか。

 現実を冷静に直視しない、根拠の乏しい「はかない夢」だと考えるのが普通の感覚ではないでしょうか。

 解散、総選挙は先送りのようですが、ぜひ、この点を考えて投票先を選んでいただきたいと思います。

 それでは、この後、昨年度の「会務」を報告し、新年度の「方針案」「予算案」「次期役員ならびに議長副議長選出結果と総会承認人事」をご提案いたします。

 皆さまのご理解、ご協力をお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。

 ご清聴ありがとうございました。

総会祝賀会での挨拶 2019年6月

 本日は、ご多用のところ、このように多数の方々にご臨席を賜り、「設立50周年祝賀会」を執り行うことが出来、誠に光栄の至りです。

 高いところからだが、こうして、皆様の、お一人お一人のお顔を拝見すると、長きにわたり様々なご支援を賜った事を思い、感謝の念を禁じえない。誠にありがとうございます。

 とりわけ、本日ご臨席の、医学・医療を指導していただいている病院の先生方、平素よりご懇意にさせていただき、たびたびご無理申し上げている国会議員の先生方、ご指導・ご鞭撻を頂いている「全国保険医団体連合会」並びに各都道府県の保険医協会・医会の先生方、私どもの活動にご理解ご協力をいただいている医療関係団体の皆様、共済事業を通じてご協力いただいている生命保険会社・損害保険会社の皆様、親しくお付き合いさせていただいている友好団体の皆様、お取引いただいている業者様、並びに協会顧問の弁護士、税理士の先生方に厚くお礼申し上げます。

 ご来賓の方々のお名前をすべてご紹介することは叶わないが、ご参加いただいた皆様のお力添えとご支援のおかげ様をもち、本日50周年という喜びの節目を迎えることができ、あらためて皆様のご厚情に感謝申し上げます。

 これからは、国民健康保険の都道府県単位化なども実行され、医療社会保障分野における都道府県の権限と役割が一層強くなっていきます。半ば強制的な機能別病床数のコントロールや医師の地理的偏在解消、県独自の診療報酬点数設定なども危惧されます。

 さて、ここで協会の半世紀を、スライドを使って簡単にご紹介します。まず、初代理事長・桐島正義先生。協会は、1963年十数人の有志により結成された「兵庫保険医クラブ」を前身としています。保険医クラブ6年間の活動を経て1969年、764人の会員からなる「兵庫県保険医協会」が設立されました。「開業保険医の経営と生活、権利を守る」「国民医療の充実と向上をはかる」という二つの大きな目的を掲げてスタートしました。

 初代歯科部会長・田村武夫先生。兵庫県保険医協会は、医師法・歯科医師法の第一条に定められているように、「公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保する」ために、早くより医科・歯科一体となって活動しています。

 合志至誠・第二代理事長。1995年、阪神・淡路大震災が発生し、協会は被災患者支援と民間医療機関への公的支援拡充を求めました。「復興県民会議」を中心に、日本医師会の協力も得ながら、医療機関向けの助成制度を認めさせ、その後の災害対応の基礎となっています。

 池尻重義・第三代理事長。協会は受診抑制を伴い、格差医療を招く「患者窓口負担増加」へは一貫して反対しています。協会は、財政優先の社会保障費抑制に対して、医療政策研究を重ね、会内外に発信し、国民とともに、皆保険制度を守り続けてきました。

 第4代理事長・朝井栄先生。2000年には介護保険制度が創設されました。協会は医療だけにとどまらず、介護保険の充実をはじめ、命、健康を脅かす、いわゆる「健康の社会的決定要因」の改善にも力を注いできました。

 前理事長・池内春樹先生。この当時、産科・小児科・救急を中心に「医療崩壊」がもたらされたのは、記憶に新しいかと思います。協会は、社会保障全般、あるいは健康に関する問題意識を共有する各団体とも協働して活動してきました。

 協会設立当時の私。中学入学直後、人生で3カ月間だけ丸刈りを強制され、この頃より「非従順な知性」が芽生えていました。体重は50年でおよそ2倍になりました。まだまだ力不足ですが、歴代理事長に一歩でも近づけるよう、努力したいと思います。本日この日を、新たな50年へのスタートとしたいと思います。

 当協会の50年間の活動と業績は、歴代理事長をはじめ、協会役員延べ259人を中心に、すべての会員、そして事務局員の協力と努力の結果です。この場を借りて、ご逝去された方、並びに先人たちのご尽力に感謝し、今日の慶事を共に喜びたいと思います。

 お陰様を持ち、共に活動する会員数は、設立以来、毎年増加を続け、現時点では過去最高となる7520人となりました。医科歯科一体の協会としては全国2番目の規模となりました。

 私ども協会の目的は「国民医療の向上と充実をはかる」ことです。これは立場を超えた国民の強い願いであり、私たち医師・歯科医師の責務であり、追い求め続け、達成すべき目標です。

 兵庫協会は、今日のこの日を、先達たちが築き上げてきたこの道をより太く、明るく、はっきりと示す第一歩としたいと思います。

 設立当初の情熱を忘れず、慢心することなく、医科・歯科一体となって、困難と問題に立ち向かい、理想と目標に向かって進むことを、会員一同改めて決意しています。皆様方におかれては、これまでと変わらない、ご指導とご鞭撻、ご理解とご協力をお願い申し上げます。

 最後になりましたが、ご臨席賜りました皆様のご健勝とご多幸を祈念し、私のご挨拶とさせていただきます。有難うございました。

就任挨拶 2015年6月

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兵庫県保険医協会
理事長 西山 裕康

 この度、兵庫県保険医協会の理事長に就任いたしました西山裕康です。

 平素は協会の活動にご理解、ご協力賜わりまして誠に有難うございます。私たち兵庫県保険医協会は、現在医師・歯科医師合わせて7200人を超える組織です。「患者住民とともに地域医療の充実・向上をめざす事」を大きな柱とし、命と健康を守る社会の実現に向け活動しています。

 さて、最近の医療・社会保障改革を見ますと、小泉改革に始まる「公的医療にブレーキ」に加えて、安倍内閣における「医療の営利産業化にアクセル」という新自由主義的政策により、多くの医療関係者が巻込まれ、一部は押し切られあるいは取り込まれ、その結果、健康弱者を始めとする社会的弱者にその「しわ寄せ」が及んでおります。

 日本の国民皆保険制度には、先人たちが作り上げてきた「いつでも、どこでも、だれでも」という理想があります。この理想を守り続ける事により、国民が最適な医療を享受できるという、世界に誇れる日本の医療制度を再確認し、その体制を堅持しさらに充実させるべきです。

 「いつでも、どこでも、だれでも」に反する「今だけ、ここだけ、自分だけ」を決して良しとせず、「能力に応じて負担、必要に応じて給付、結果として所得再分配を伴う」という社会保障の原則を当然とし、基本的人権としての医療・社会保障を守り続ける活動に邁進したいと思っております。

 兵庫県保険医協会の大きな柱は「患者・住民とともに地域医療の充実・向上をめざす」事です。そのためには皆様方のお力も必要ですので、今後とも協会の活動にご理解とご協力、ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

 以上、簡単ですが理事長就任の挨拶とさせていただきます。

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