兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

当協会について

理事長挨拶

総会挨拶 2017年6月

rijicyo_nishiyama.jpg

兵庫県保険医協会
理事長 西山 裕康

 本日はご多忙にも関わらず、第49回総会にご出席いただきまして、誠に有難うございます。会員の皆様には、平素より協会の活動にご理解ご協力いただき厚くお礼申し上げます。

 また、本日はお忙しい中、ご来賓と致しまして、私ども全国の協会・医会の代表としてその重責を担われておられます「全国保険医団体連合会 会長」の住江憲勇様。消費税損税問題で、各団体との懇談にご尽力いただいている「兵庫県民間病院協会監事 尼崎中央病院 前理事長、現在は社会医療法人中央会会長」の吉田静雄様。「保険診療法制研究会」で指導・監査問題に関し、精力的にご議論頂いている弁護士の先生方を代表いたしまして、「はなくま法律事務所」弁護士の野田倫子様にご臨席いただいております。会を代表しまして心よりお礼申し上げます。

 それでは、この間の医療・社会保障をめぐる情勢と私たちの活動に関して、若干の所感を申し述べさせていただきます。

 最近の医療・社会保障を取り巻く状況はますます厳しくなっています。医療費増嵩は、かつては個別の医療保険制度内の財政収支問題でしたが、今やその規模の大きさから国の経済成長や財政の問題になり、国民の関心は一層高くなっています。しかし、医療は国家の財政収支に合わせるべきではなく、各政策効果の指標が「医療費・介護費の抑制」一辺倒であってはなりません。

 医療費抑制は、供給面においては診療報酬のマイナス改定と医師数抑制・病床数の削減、需要面においては患者負担の増加とそれに伴う受診抑制を中心として行われてきました。

 来年は診療報酬・介護報酬同時改定があります。かつては診療報酬のプラス改定分がそのまま開業医のポケットマネーになるかのような世論誘導がおこなわれてきました。しかし、国民医療費の分配からみた診療所の入院外医療費は全体の約20%、医療機関の費用の内訳に占める医師の人件費は約13%に過ぎません。診療報酬の大幅引き上げは、病院の経営者、勤務医、看護師、コメディカルを含め約300万人と言われる医療従事者が共有する要求です。診療報酬は、日本の医療の質と量を決めるものです。堂々と引き上げを要求しましょう。

 最近は、さすがに「診療報酬を上げても、院長夫人のコートになる」などと言った開業医バッシングともいえる世論誘導は弱まってきています。しかし、代わりに「保険料負担や公費負担といった国民負担を抑制し、制度を持続可能なものとする」などとし、これまでの医療機関の収入や経営状況からの視点だけでなく、税や保険料といった「国民負担の軽減」という点に軸足を移し、そのために「診療報酬のマイナス改定が必要」と主張しています。つまり「国民負担」と「診療報酬」を天秤にかけるのです。これらの論調は、多くの国民の経済状況や中小零細企業の保険料負担の苦しさを逆手に取った姑息な主張であります。

 ただ、このような国民の関心と状況のもとで、納税者や保険者の理解と納得を得るためには、医療費の増加により国が亡びるという「医療費亡国論」、医療に回すお金はないとする「財源不足論」、医療は国家財政の足を引っ張る「お荷物論」、医師や病床の供給が不必要な需要を生むとする「供給過剰による需要誘発論」などを論破、払拭、克服しなければなりません。

 世界の福祉国家が医療費増加を原因として破たんしたことはありません。応能負担を徹底すれば財源確保は可能です。また、300万人以上の従業員を擁する医療は、決して経済成長のお荷物ではありません。医師数の抑制も既定路線のようになりつつありますが、日本の人口当たりの医師数は、OECD平均に過去に追いついたことはなく、これからも決して追いつきません。日本の医療は、医師をはじめとする医療従事者の不足によるサービス密度の不足が、在院日数の長さにつながっています。医師数抑制や病床数削減が、医療費抑制の手段となっては本末転倒です。欧州諸国のように、社会保障の充実と経済成長の両立は可能です。

 診療報酬を増やさず、医師を増やさず、病床を削減し、在院日数を短縮し、患者窓口負担を上げれば、全体のコストは下がりますが、同時にクオリティもアクセスも確実に下がります。その結果、医療現場は過重労働となり、安全・安心の医療が妨げられ、経済的弱者が公的医療から遠ざかり医療に格差が持ち込まれます。このような状況は避けねばなりません。

 さて、私、理事長を拝命してから2年が経過します。当初はその重責を担えるか不安でしたが、多くを学ばせていただき、私なりに努力いたしました。至らない点もあったかとは思いますが、現在まで大過なく職務を遂行できているとの評価が頂けるのならば、それらはひとえに執行部並びに事務局の方々が、長きにわたって積み上げてきた土台の賜物であります。3年目を迎えその事を改めて強く実感しております。

 協会活動の基本は、その規模の大小に関わらず、二つの目的「開業保険医の経営と生活、権利を守る」「国民医療の充実と向上をはかる」に沿っているかです。これまでの2年間もそうであったように、これからも、これらの基本的考えと体制を尊重し、活動を続けたいと思っています。

 今後とも会員の皆様のご理解とご協力、ご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。

 本日の総会では、昨年度の「会務報告」と新年度の「活動方針案」、「予算案」、「役員等選出の報告」を上程しておりますので、ご承認賜りますようお願い申し上げます。

 以上でご挨拶とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

総会での再任後挨拶 2017年6月

 執行部を代表しまして一言申し上げます。

 総会では、提案いたしました数々の議案、次年度協会役員・議長・副議長、総会承認人事をつつがなくご承認いただき、お礼申し上げます。お並び頂いた副理事長の先生方を中心に、協会活動に一層力を注ぎたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 さて、現在、地域医療構想の策定や地域包括ケアシステムの構築、医療費適正化計画、地域医療計画、介護保険事業支援計画の策定が急がれていますが、医療介護を取り巻く状況は、都市部と地方では大きく異なっています。

 兵庫県は、医療や介護に関する各種指標は、全国平均に近い事が多いのですが、同じ県内でもその人口分布や高齢化率、医療の需給状況とその推移に差が大きく、今後、県内全体が一様の経過をとるわけではありません。但馬や丹波では高齢化率のピークを迎えつつありますが、神戸や阪神北ではそのピークは遅れその絶対数は多数です。但馬圏域では、脳卒中や心筋梗塞の場合に、自動車搬送30 分圏未カバー人口割合が60%、およそ10万人と言われています。地方に必要とされるのは医療と教育ですが、このような医療提供体制では地方創生どころか地域の衰退は明らかです。

 これからは、国民健康保険の都道府県単位化なども実行され、医療社会保障分野における都道府県の権限と役割が一層強くなっていきます。半ば強制的な機能別病床数のコントロールや医師の地理的偏在解消、県独自の診療報酬点数設定なども危惧されます。

 執行部としましては、これまで以上に地域医療の問題点を吸い上げ、力強く支援していきたいと思いますので、各専門部、支部の先生方におかれましても、医療・介護だけでなく健康・生命・人権・平和に影響を及ぼす課題について、積極的に協会執行部までご連絡、ご提案下さいますようお願いします。

 先ほど宮武副理事長からご報告がありましたが、一言付け加えさせていただきます。この度、神戸大学医学部附属病院が入会となり、兵庫医大篠山医療センターからも入会の申し込みを受けております。ともに喜びたいと思います。これで兵庫県内すべての大学病院が協会の会員となり、全国でも初めてではないかと思っております。

 これは組織部が、地道な努力を長年続けたためではありますが、共済部、審査対策部の協力も忘れてはなりません。何よりも今回の成果は、「頼りになり、役に立つ、会員になって得する協会」というスローガンが、大学病院をはじめとした公的大病院にも賛同を得られるという事、また、そのスローガンの基礎となる多方面にわたる活動を、協会各部が日々積み重ねてきた証だと思います。

 これからも兵庫県保険医協会は、県内有数規模の医療団体として、私たちの組織とその目的・活動を、病院・勤務医はもちろん、一般の方にも知っていただくため、ホームページの充実、ラジオ出演やマスコミ対策、各種講演会、署名活動やクイズちらしなどを通じ、広く、強く広報したいと思っています。

 協会は再来年50周年を迎えます。「生き残るのは強いものでも、賢いものではなく、変化に対応できるものである」との言葉にあるように、私たちの活動も、時代に即したものでなくてはなりません。しかしながら、その目的は創設時より変わらず、その時の熱意あるいは憤りも忘れてはなりません。

 先日TVを見ておりますと、ロボットコンテストの創設時から尽力していた東京工大の森教授はこのような格言を残していました。「勝者には力があるが、敗者には夢がある」。マーティン・ルーサー・キング牧師にも夢がありました。政権による国民監視と統制の方向は強化されつつありますが、理想と現実、全体と部分、中心と周辺、内と外のバランスを保ちつつ、協会活動を進めたいと思います。

 私まだまだ浅学菲才の身ではありますが、6代目の理事長として、これまでの理事長の名を汚すことの無いよう、新しく選ばれました12人の副理事長、41人の理事、5人の監事、三根議長と2人の副議長、名誉理事長・顧問・参与の先生方とともに、また藤田事務局長と30人の事務局員、すべてが自覚を新たに一丸となり、本日総会での活動方針、決議事項を遵守し、伝統に基づく由緒ある協会発展のために、全力で尽力する覚悟です。

 至らぬところは厳しくご叱正賜り、これまでどおり皆様のご理解とご支援を重ねてお願い致しまして、ご挨拶とさせていただきます。有難うございました。

評議員会挨拶 2017年5月

 本日は、お忙しい中、また汗ばむようなお天気の中、第91回評議員会にご出席いただきありがとうございます。また、平素は評議員として、協会の活動にご理解ご協力を賜りありがとうございます。

 さて、昨今の医療・社会保障を取り巻く状況には厳しいものがあります。医療・介護においても不正の撲滅と無駄の排除、機能分化と切れ目のない連携は必要ですが、世界一高齢化が進む日本において、確実な需要の増加、つまり国民が必要としている医療・介護に投資せずに、国の活力と成長を取り戻すことはできません。

 国民の切なる願いは、絶えず「医療・介護・子育て・福祉」のいわゆる社会保障の充実です。社会保障費の根拠なき機械的削減、診療報酬のマイナス改定、拙速な地域医療構想策定と強引な地域包括ケアシステムの構築、費用削減を主な評価指標とする給付や負担の「適正化」、健康弱者排除の「患者・介護利用者負担増」など、これまでの旧態依然とした方向は改めるべきです。

 そのためには、医療費の増加により国が破たんするという「医療費亡国論」、医療に回すお金はないとする「財源不足論」、医療は国家財政の足を引っ張る「お荷物論」、医師や病床の供給が需要を生む「供給誘発需要悪玉論」などを克服、論破、払拭せねばなりません。

 日本は少子高齢化が進行していますが、決して自然現象ではなく、政治の無策、政策の方向違いあるいは手遅れ・不足の結果です。すでに世界でも小さな政府に属する日本が、新自由主義的思想と政策により、さらに市場原理を優先させては、格差と貧困を広げるばかりです。規制は弱肉強食の世界から弱者を守るためにあります。今必要なのは、医療特区のような規制緩和ではなく、当事者の意見を十分に反映した地域に根差した地道な施策です。

 政府は、既定の路線に反省の色を見せずに、「我が事・丸ごと」や「地域の助け合いは日本の原風景」などといい、さらには憲法に「家族の助け合い」を書き込もうとする本音などから見れば、社会保障における国家の責任を放棄し、自助、共助をことさら強調し、社会保障を隣近所の助け合いに変質させようとしています。これらは、決して政府が声高に叫んで音頭をとったり、法律や政策として国民に押し付けたり、縛るものではありません。

 医療は、国民生活の向上に必要な社会的共通資本です。最近の各指標からも、決して経済成長のお荷物ではなく、欧州諸国のように、社会保障の充実と経済成長の両立は可能です。そして、人びとの健康や病気に影響を及ぼす社会的、経済的、政治的、環境的な条件、いわゆる「健康の社会的決定要因」に目を向ける事は、古くより世界共通の医師の責務の原点です。

 命と健康に関するかぎり、国は、全国民に対し、格差なく平等に責任を持つべきであり、それは思想以前であり、憲法以前であり、まして政策以前の、当然なすべきことともいえます。同時に、私たち医療人が責任を持ってリードすべき内容でもあります。ともにがんばりたいと思いますので。ぜひご協力ください。

 この後、協会の2016年度会務報告、2017年度活動方針案並びに2017年度予算編成方針と予算案の概要、次期役員選出等に関しまして、評議員会にお諮りいたしますので、よろしくご審議ください。

 それでは、執行部に対する忌憚ないご意見、活発な討議をお願いしまして、ごあいさつとさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

新年挨拶 2017年1月

 皆様、明けましておめでとうございます。
 昨年中は協会の活動にご理解、ご協力いただきありがとうございます。特に「ストップ患者負担増」署名に際しましては、多くのご協力をいただき感謝しております。
 新年を迎えまして、ごあいさつとともに私どもの「患者さん窓口負担」に対する考え方をご紹介いたします。

患者さん窓口負担の問題点

 医療費の支払いにおいて、患者さんの窓口一部負担金を上げるのには問題があると私たちは考えています。

1、患者さん負担は「受難者」負担

 問題点の一つ目は、自分から望んでいないのに、たまたま病気になったり怪我をしたりした人の負担を増やすという点です。政府は「受益者感覚を持ってください」、つまり「医療サービスをたくさん受けているのだから、それなりに負担してください」といって窓口負担を上げてきました。
 一見「なるほどな」と思いがちですが、これには少々「考え違い」があります。
 例えば、皆さんが今、「普通の生活」をしているとします。その生活状態から、高速道路を利用したり、グリーン車に乗ったり、追加サービスを受けて「幸せな状態」になったとします。これは自分で選択できる上乗せサービスです。
 つまり「今日は高速道路を使って早く行こう」とか「今月は懐がさみしいから、グリーン車で帰るのは止めとこう」とか、自分で選択ができますので、サービスを受けた負担=追加料金は当然といえます。医療でいえば、個室料金などが、上乗せサービスにあたります。
 しかし、病気や怪我により医療そのものを受けるのは、「不幸な状態」です。しかも自分で予定したり、選んだりできません。「今日はお金がないから病気にならないでおこう」あるいは「忙しいから怪我しないでおこう」は無理ではないでしょうか。
 そのような病気や怪我の「不幸な状態」から、少しでも元の状態に戻るのに医療が「必要」で、この患者さんたちは「受益者=サービスを受けている人」というより、「受難者=災難にあった人」なのです。希望してないのに、たまたま災難にあってしまった人たちの負担を増やすのは、おかしな制度です。
 そもそも、国民皆保険制度は、そのような前もって「予定」や「選択」がままならない「不幸な状態」になった人を、みんなで助け合うための制度です。病気や怪我で費用がたくさん必要な患者さんの負担を増やすのは、方向違いといえます。

2、患者さん負担は、能力に応じていない不公平な負担

 問題点の二つ目は、患者さん窓口負担は、支払い能力に応じていない「不公平な負担」である点です。
 医療費の財源は「税金」と「保険料」と「患者さん窓口」負担です。そのうち、税金と保険料は能力に応じて負担していますが、患者さん負担は「災難に比例した負担」つまり「災難が多いほど多く負担する制度」となっています。医療保険制度も、税金や保険料のように、負担できる能力のある人がより多く負担すべきで、患者さん負担を増やすのは「不公平」だと考えます。

3、患者さん負担は、弱者を中心に受診抑制が生じる

 問題点の三つ目は、負担の増加により受診抑制が生じ、しかもそれが経済的な弱者、健康弱者を医療から遠ざけることです。
 例えば、患者さんの窓口負担が2割から3割になったとすると、やはり3割負担が大変だという方は、医療機関へ行くのをためらったり、あきらめたり、受診が途切れがちになります。そのことで、病気の早期発見が遅れたり、重症化したり、場合によっては手遅れになることもあります。
 私たちの調査では、経済的理由で治療を中断した患者さんが、医科で48%、歯科では56%で、5年前より10ポイント増えています。
 患者さん窓口負担は、受診抑制を生じさせ、経済的弱者や病気が重かったり、多かったりする人に受診をためらわせる、我慢を強いる―これは、医療保険制度としては本末転倒と言えます。

4、患者さん負担は、新たなモラルハザードと医療格差を生む

 最後はモラルハザードの問題です。
 以前より「窓口負担無料化」などによるフリーアクセスの向上が、「必要以上の受診」と「過剰な診療」を誘発する-これが「モラルハザード(=倫理の欠如)」と呼ばれ、医療保険財政悪化の原因と名指しされ、根拠のない非難を受けてきました。
 しかし、患者さん負担が上がれば、お金に余裕のある人だけが、フリーアクセスを確保するという、新たなモラルハザードが進んでいきます。患者さん負担がさらに上がれば、医療にも格差が持ち込まれ、お金に余裕のある人だけが、医療機関を自由に受診するといった、まったくおかしな制度になります。
 以上のような問題点から、協会は患者窓口負担の増加に反対しています。

医療は「能力に応じて負担し、必要に応じてサービスを受ける」のが原則

 医療は、支払った金額ではなく、その人の「必要に応じて」適切な診療を受けるのが原則で、医療が必要な患者に対して、自己負担を上げることにより、受診抑制(国民皆保険制度からの排除)につながるようなことがあってはなりません。これは決して医療関係者の「ポジショントーク」ではなく、日本の国民皆保険制度の原理・原則です。
 私たちは、この問題だけでなく、地域医療の充実・向上を目指し、皆様と一緒になって活動していきたいと思いますので、ご理解とご協力をお願いします。

アベノミクスと社会保障、国民皆保険制度

 さて、アベノミクスを掲げた安倍政権は6本の矢を放ちました。方向を間違えず、力強く的を射れば結果は出るはずです。ところが、いよいよ矢は折れ、数も尽きた様相を呈し、日銀総裁もその目標達成にギプアップ宣言をしました。
 この経済政策に4年近く日本を委ねた結果、「トリクルダウン」は起こらず、「道半ば」の間に格差と貧困が広がっています。期待感を膨らませる方法は巧みですが、日本国民は、富と安寧を実感していないのではないでしょうか。
 「世界で一番企業が活躍しやすい国」などは諦めて、「企業の蓄え」ではなく、社会保障の充実による「国民の豊かな暮らし」へと舵を切り、将来不安の少ない安心な社会を作りだすことこそ政府の仕事です。

酉年を迎えて

 今年は酉年、私も60歳になります。先人の努力のおかげで、世代的には右肩上がりの恵まれた時代を過ごしてきましたが、続く世代の行く末には不安を禁じ得ません。私たちの努力不足により、遺憾ながら右肩上がりの生活は望めないかもしれませんが、個人や集団が分断され、憎しみ合ったり、罵り合ったりすることなく、貧困や格差や差別が少しでもなくなることを願い、またそのために行動したいと考えています。
 酉年生まれを知った子どものころ、「トリ」は鷲(わし)か何かの勇ましい鳥と思っていたのですが、鶏(にわとり)を示すと知って少々がっかりした記憶があります。しかし、実は「トリ」は単なる当て字で、「酉」は果実が成熟した状態を示すようです。さらには「酒つぼ」を意味し、収穫した作物から酒を抽出する意味もあるようです。
 私たちの世代で成熟した果実は何でしょうか。その果実は、個人であれ、団体であれ、国家であれ、我先に貪ったり、一部が独占したり、外から奪われたりするのではなく、お酒の形でもいいから後世に残し、広く、長く味わってもらえるように努力したいと思っております。
 兵庫県保険医協会は、兵庫県下の医師・歯科医師を合わせて7300人加入の団体です。大きな目的として「患者さん・住民と共に地域医療の充実・向上を目指す」ことを掲げています。
 本年も会員、事務局員一丸となって努力する所存ですので、一層のご理解、ご協力の程お願い申し上げます。

就任挨拶 2015年6月

rijicyo_nishiyama.jpg

兵庫県保険医協会
理事長 西山 裕康

 この度、兵庫県保険医協会の理事長に就任いたしました西山裕康です。

 平素は協会の活動にご理解、ご協力賜わりまして誠に有難うございます。私たち兵庫県保険医協会は、現在医師・歯科医師合わせて7200人を超える組織です。「患者住民とともに地域医療の充実・向上をめざす事」を大きな柱とし、命と健康を守る社会の実現に向け活動しています。

 さて、最近の医療・社会保障改革を見ますと、小泉改革に始まる「公的医療にブレーキ」に加えて、安倍内閣における「医療の営利産業化にアクセル」という新自由主義的政策により、多くの医療関係者が巻込まれ、一部は押し切られあるいは取り込まれ、その結果、健康弱者を始めとする社会的弱者にその「しわ寄せ」が及んでおります。

 日本の国民皆保険制度には、先人たちが作り上げてきた「いつでも、どこでも、だれでも」という理想があります。この理想を守り続ける事により、国民が最適な医療を享受できるという、世界に誇れる日本の医療制度を再確認し、その体制を堅持しさらに充実させるべきです。

 「いつでも、どこでも、だれでも」に反する「今だけ、ここだけ、自分だけ」を決して良しとせず、「能力に応じて負担、必要に応じて給付、結果として所得再分配を伴う」という社会保障の原則を当然とし、基本的人権としての医療・社会保障を守り続ける活動に邁進したいと思っております。

 兵庫県保険医協会の大きな柱は「患者・住民とともに地域医療の充実・向上をめざす」事です。そのためには皆様方のお力も必要ですので、今後とも協会の活動にご理解とご協力、ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

 以上、簡単ですが理事長就任の挨拶とさせていただきます。

理事長挨拶 保険医協会とは 理事長のページ 協会に関するQ&A 理事会スポット