兵庫県保険医協会

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学術・研究

医科2017.04.15 講演

成人吸入薬の全て[診内研より496]

独立行政法人 国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター 内科  倉原 優先生講演

 2017年4月15日に兵庫県保険医協会において、吸入薬全般について話をさせていただきました。
喘息治療で用いる吸入薬
 前半は喘息についてです。喘息の治療の主役は、抗炎症作用のある吸入ステロイド薬(ICS)を根幹にして、重症例では長時間作用性β2刺激薬(LABA)や長時間作用性抗コリン薬(LAMA)などを上乗せで用いてコントロールします。
喘息の長期コントロール達成のためには、吸入アドヒアランスの維持が重要であり、個人的には1回1吸入1日1回の製剤が好ましいと考えています(具体的にはオルベスコ®インヘラーやレルベア®エリプタなど)。
 2017年3月に新しいICSであるアニュイティ®エリプタの製造販売が承認され、5月頃に発売される見込みです。これにより、アニュイティ®←→レルベア®のステップアップ・ダウンが可能になります。エリプタ製剤は喘息患者のアドヒアランス維持にきわめて効果的であると考えています。
 喘息に対して、ICS単独を処方するかICS/LABAを処方するか迷うところですが、毎日症状があるようなステップ3のケースではICS/LABAを用いる方がよいでしょう(図1)。それより軽症のステップ2ではICS/LABAが必要かどうか意見が分かれるところですが、一部のステップ2の症例にはICS/LABAも妥当な選択肢です(喘息では、ある程度のオーバートリートメントは容認される)。
COPD治療で用いる吸入薬
 後半はCOPDについてです。COPDの治療の主役は、LAMAです。重症例にはLABAを上乗せで用います。現在、3種類のLAMA/LABA製剤が発売されています(表)。このいずれも、LAMA→LAMA/LABAへステップアップが可能な吸入デバイスです。
 COPDに対してはこれまでアドエア®やシムビコート®などのICS/LABAもよく用いられていましたが、GOLD20171)の改訂によりその位置付けが少し変わりました(図2)。
 これまではICS/LABAによってCOPD増悪を予防し入院を抑制できる効果が期待されていましたが、GOLD2017ではICS/LABAによる肺炎リスクの上昇が示唆され、積極的にICS/LABAを用いる理由が薄れてしまいました。COPDは炎症性疾患ですが、ICSによる恩恵は想定されていたより大きくないのかもしれません。
吸入デバイスの特性を知ろう
 喘息およびCOPDでは吸入アドヒアランスの維持が重要です。患者さんにとって使いやすい吸入デバイスでなければならず、また好みに個人差があるため、処方する医師もおおむね吸入デバイスの特性を知っておく必要があります。インターネット上には吸入デバイスの使い方の動画が公開されており、もしよく分からない吸入デバイスがあれば検索して視聴することをお薦めします。
 また、講演の最後には、気管支鏡を用いた新しい閉塞性肺疾患の治療法を紹介させていただきました。喘息に対する気管支サーモプラスティ、COPDに対するTargeted Lung Dnervation(TLD)です。こうしたアドバンスな治療を呼吸器専門医が担い、ベーシックな治療をプライマリケアレベルで継続診療いただく時代が来るかもしれません。
※国内では未承認の治療

参考文献
1)GOLD 2017. Global Strategy for the Diagnosis, Management and Prevention of COPD.(http://goldcopd.org/gold-2017-global-strategy-diagnosis-management-prevention-copd/)
(4月15日、診療内容向上研究会より)

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