兵庫県保険医協会

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学術・研究

医科2018.02.03 講演

第34回地域医療を考える懇談会(2月3日)より
中播磨の医療の現状と課題

姫路市・松浦診療所 院長  松浦 伸郎先生講演

中・西播磨の現状
県下各地域の高齢化率と子どもの割合
 兵庫県の医療圏は10に分けられ、但馬と淡路の高齢化率(65歳以上)は明らかに高い(図1)。阪神地域は生産年齢人口が多いがそれでも高齢化率は25%を超えている。西播磨は65歳以上の高齢化率は30%を超えており、丹波、但馬、淡路では3分の1を超えている。
 75歳以上の割合は但馬、淡路で19%に上る。丹波は18%、西播磨は15%とそれに次いでいる。14歳以下の年少人口はいずれの地域も12〜14%と少ない。兵庫県は全体的に少子化が著明で早急な対策が望まれる。
姫路市内の高齢化率
 図2は、中播磨医療圏の中の姫路市の高齢化率である。姫路市北部と中心部で大きく差があることが分かる。また65歳以上の高齢者は北部地区では35%以上であるが、東部、中部、西部はいずれも20%程度と同じ市内であっても大きく異なる。つまり北部の前之庄や安富北では3人に1人が高齢者だが、中心部では、高齢化率は2割を切る。
 市の北部は65歳以上の割合が中心部の約1.5倍、75歳以上が2〜3倍程度で、75歳以上が多いことから急速な高齢化が大問題で、今後数十年で人口構成が大きく変わることが予想される。
 年少人口比率と高齢者人口比率を見ると少子化の進んでいる地域ほど高齢化率が高くなっており、強い相関があることが分かる(図3)。姫路市は、高齢化と少子化対策をセットで早急に行うことが求められる。
 市の北部は平成の大合併で姫路市に合併された地域で、それに伴い交通がさらに不便になり、東西の公共交通機関がないのが現状である。移動手段が極めて乏しいために医療機関へのアクセスが難しくなってきているのは明らかである。
夢前町から見た中播磨
 私の医院がある夢前町は福崎町、市川町中心部まで約7〜8㎞。一方、姫路市街まで直線距離でも15〜20㎞もあり、宍粟市やたつの市までとほぼ同距離である。中・西播磨のほぼ中央に位置する姫路市の一部の町であり、交通が極めて不便で鉄道がなく、南北の高速道路もない。姫路市との合併により過疎化がさらに進行、行政サービスが合併前より低下した。夢前町の北部では高齢化と過疎化がさらに深刻である。姫路市と言いながら周辺市町は宍粟市と神崎郡(神河町・市川町・福崎町)であり、今後はこれらの地域とのさらなる連携も必要である。
 夢前町は姫路の中心部から20㎞程度離れているが、主な道路が各谷筋に1本しかない。公共交通機関であるバスも本数が少なく、極めて不便である。しかも各集落からバス停までは数㎞あることがしばしばで、すぐにバスに乗れるわけではない。経路によってはバスが1日に数本しかない地域もあり、実質的には自家用車を利用せざるをえない。
 高齢になり自家用車が運転できなくなったとき、高齢者世帯は若い世代が町に出て近くに居住していない場合が多く、往診を要請される場合が多い。しかし患家までの距離は数㎞が普通で、時には片道10㎞以上のことがある。医療機関は姫路市街地に集中しており、夢前町内には数軒しかない。救急体制は姫路市街が担っているものの、夢前町から市内の救急病院まで30分以内では搬送できないことも多い。今後は地域全体の見守りや健診の普及など自治会を中心とした医療啓発活動が望まれる。
西播磨から中播磨への患者の流出
 2016年度の姫路市への救急患者の流入は、西播磨圏域から姫路市へ3767人/年、神崎郡から姫路市へ805人/年である(図4)。西播磨から中播磨へ26.7%の患者が流出しており、西播磨圏域だけで二次医療圏として完結しているとは言いがたい。西播磨の医療機関を整備せずに、中播磨と西播磨の医療圏を統合して、圏域内で医療を完結できるように調整するのが県のねらいである。
小児の医療圏域
 兵庫県の小児の中核病院は県立こども病院、県内の大学病院であり、いずれも遠距離のため、中播磨圏域は基幹4病院を中心に、また西播磨圏域は赤穂市民病院を中心にしたシステムが確立している。また各市の休日夜間急病センターも子供の救急に十分活用されている。姫路赤十字病院が小児地域医療センターとしてすでにその役割を担っており、圏域の変更により小児医療に変化が起こることは考えにくい。
(2月3日、地域医療を考える懇談会「中・西播磨医療圏の現状・課題と兵庫県保健医療計画の改定」より)

図1 兵庫県下の各医療圏の高齢化率と子どもの割合
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図2 姫路市内の学区ごとの高齢化率と子どもの割合
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図3 姫路市内の学区ごとの年少人口・高齢者人口の相関
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図4 中播磨郡部と西播磨から姫路市に流入する救急患者
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