兵庫県保険医協会

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学術・研究

医科2022.10.29 講演

[保険診療のてびき] 
新型コロナワクチン UPDATE
-ワクチンの有効性と安全性とオミクロン対応2価ワクチンについて- (2022年10月29日)

神戸市立医療センター中央市民病院 感染症科副医長 黒田 浩一先生講演

新型コロナ つづく流行
 新型コロナウイルス感染症(Coronavirus Disease 2019, COVID-19)は、2019年12月に中国武漢で報告された後、世界中に拡がった。
 私たちは、2020年1月に国内1例目が報告された後、第1波(2020年3月~5月)、第2波(2020年7月~9月)、第3波(2020年11月~2021年2月)、第4波(2021年3月~6月)、第5波(2021年7月~10月)、第6波(2022年1月~6月)を経験してきた。
 そして、2022年7月から第7波が始まり、過去最大の波となった。2022年9月以降、収束傾向となっているが、11月初旬現在、日本全国で再度増加傾向となっており、今後、第8波が始まる可能性が指摘されている。
 第4波以降の流行は、ウイルスのスパイク蛋白をコードする遺伝子の変異による、感染伝播性の増加、または、ワクチン・中和抗体薬の効果の低下(免疫回避)を特徴とした新規の変異体(variant)によって引き起こされてきた。第4波ではアルファ、第5波ではデルタ、第6波ではオミクロン(前半はオミクロンの亜系統であるBA.1、後半はBA.2)と名付けられたvariantが大流行を引き起こした。第7波は、オミクロンの亜系統であるBA.5が原因となった。2022年11月初旬現在も、BA.5は国内の主要なvariantであるが、今後XBBやBQ.1.1(前者はインド・シンガポール、後者は欧米で増加傾向)などのさらに免疫回避傾向の強いvariantが流行する可能性がある。
COVID-19ワクチンの効果
 今回の講演のテーマであるCOVID-19ワクチンは、2021年2月から国内で接種が開始された。本邦で主に使用されているのは、ファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチンである。
 2022年11月現在、5歳以上に対する3回目接種、60歳以上の高齢者・18歳以上の基礎疾患を持つ者・医療従事者・高齢者施設等の従事者に対する4回目接種、12歳以上全員へのオミクロン対応2価ワクチンの接種(3回目以降の接種)、6カ月~4歳に対する初回接種(ファイザーワクチンを3回接種)が推奨されている。
 COVID-19ワクチンは、デルタ流行期までは非常に高い感染予防効果が期待できたが、オミクロンの流行によって、その感染予防効果は低下し、効果の持続期間は短くなった。一方で、重症化(入院または死亡)予防効果は比較的高く維持されており、ワクチンの主眼点は、感染予防から重症化予防へと変化してきている。
 表1~表4に、2022年10月までに出版された研究で示されたCOVID-19ワクチンのオミクロンに対する成人への3回目接種の効果、4回目接種の効果、12歳以上の未成年への初回(1・2回目)・3回目接種の効果、5~11歳への初回(1・2回目)接種の効果を示す。
 5~11歳に対する3回目接種と6カ月~4歳に対する初回(1~3回目)接種の臨床効果についてのエビデンスは、まだあまりないため、表には提示していないが、副反応が少ないことはすでに複数の研究で示されている。なお、未成年への接種に当初慎重であった日本小児科学会は、現在では6カ月~11歳に対する初回接種と、12~17歳に対する3回目接種を推奨するようになった。
オミクロン対応2価ワクチン
 オミクロン対応2価ワクチンは、BA.1対応(従来株とBA.1を対象)2価ワクチンとBA.4/5対応(従来株とBA.4/5を対象)2価ワクチンの2種類が使用可能である。どちらもファイザー社とモデルナ社のワクチンがあり、前者は12歳以上、後者は18歳以上が対象となっている。
 感染予防効果や重症化予防効果を検討した研究結果はまだ発表されていないが、いずれの2価ワクチンも、2回目のbooster接種(4回目接種)として使用した場合、オミクロン(BA.1、BA.4/5)に対する中和抗体価を、従来ワクチンよりも上昇させることが示されている(BA.4/5対応ワクチンについては従来ワクチンと同等という報告もあるが、2022年11月以降発表された複数の報告で、従来ワクチンと比較すると、有意に中和抗体価が高いことが示された)。また、オミクロン対応2価ワクチンの副反応は、従来ワクチンと同等と報告されており、安全性は確認されている。
 2022年11月現在、日本政府は12歳以上の国民全員に対して、年内のオミクロン対応2価ワクチン(BA.1対応型・BA.4/5対応型のいずれでもよいという立場)の接種を推奨している。これは、この冬に来ると予想されている第8波に備えるためである。
 しかし、2022年11月8日現在、オミクロン対応2価ワクチンの接種はそれほど進んでおらず、全人口の8%程度にとどまっているのが現状である(約1000万人)。なお、BA.1対応とBA.4/5対応ワクチンのいずれが優れているかはわかっていないが、2022年7月以降、本邦で流行している主要なvariantはBA.5であるため、多くの自治体ではBA.4/5対応2価ワクチンを選択する方針のようである。
 オミクロン対応2価ワクチンは、3回目接種以降に選択されるワクチンであり、初回(1・2回目)接種の場合は従来ワクチンを選択する必要があることには注意が必要である。また、接種間隔は、最終接種から3カ月以上あける必要がある。このような本邦のオミクロン対応2価ワクチンの接種適応や接種間隔は、概ね北米・欧州・イスラエルなどの先進国と同様である。

(2022年10月29日、加古川・高砂支部総会記念講演より)


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