兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2010年8月05日(1630号) ピックアップニュース

燭心

 暑い夏だが、全国各地、熱い思いで頑張っておられる方も多い。65回目の終戦記念日も間近、この夏、協会の沖縄平和ツアーでめぐり会った人たちを紹介したい▼那覇市東方の西原町で沖縄戦の遺骨発掘ボランティアをしておられる具志堅さん。現場見学をお願いした。このあたりは沖縄で最初の激しい戦闘のあったところだ。山中にたてこもる日本兵に米軍の激しい砲撃が加えられ、住民も含めて多くの死者が出た▼ぬかるみの密林を細いはしごで山の中腹まで登る。汗がほとばしる。と、目の前に崩れかけた野戦壕の跡が現れる。中には5体の白骨遺体、具志堅さんたちが最近掘り出したものだ。4体は砲撃された負傷者で、手前の1体は自害された遺体ではないかと説明してくれた。突然のスコールもあって、しばし壕の中で冥福を祈る時間を過ごした▼さぞかし無念であっただろう。前途ある人々の命を無残に奪った戦争の不条理を改めて思う。この後、敗走する日本軍を追って米軍は南進する。敵味方23万人の犠牲者を出して沖縄戦は終結するが、悲劇は、さらに広島、長崎へと続く▼ツアーガイドをしてくださった稲福さんも、平和ボランティアの一人だ。尊い犠牲の上にできた平和憲法だが、この島はいまだ米軍の「占領下」だ。基地撤去の運動を粘り強く続けておられる稲福さん、辺野古に新基地を作らせないためにも、秋の名護市議選と沖縄知事選が大切だと締めくくられた。熱い秋を共有したい(星)
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