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兵庫保険医新聞

2010年12月05日(1641号) ピックアップニュース

保団連公害視察会[感想文] 上関原発でなく自然保護を

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原発建設予定地を船上から見学した兵庫の
参加者(右側3氏、筆者は右2人目)

 保団連は11月6・7日に公害視察会を開催。全国から36人が集まり、兵庫協会から、林祐介副理事長、森下順彦理事、山田旺評議員ら4人が参加した。参加者の感想文を紹介する。

 中国電力が山口県熊毛郡上関町に1982年から進めている原子力発電所建設計画は、原発建設推進派と反対派に二分され、28年経過した現在も原発工事着工に至っていない。
 その計画の問題点や現状について理解を深めようと、11月6・7日の日程で全国の協会会員、事務局員ら約40人(兵庫協会より環境・公害対策部員3人、事務局員1人)が参加して、柳井市クルーズホテルで現地学習会が行われた。
 初日6日、生物多様性の保護を訴え続けている環境問題研究者、安渓遊地(あんけい ゆうち)山口県立大学教授、および奥様で植物生態学が専門の安渓貴子同大非常勤講師が「上関における生物多様性保護の必要性」と題して講演した。
 中国電力がまとめた環境評価が不充分であるとの指摘があり、このようなずさんな計画で進めると、将来大きな禍根を残すことになると示唆された。
 次いで、地元住民らで作る環境保護団体「長島の自然を守る会」の高島美登里代表は、建設予定地付近海域で生棲し、国の天然記念物に登録されているカンムリウミスズメやスナメリなどの鳥類・魚介類の映像を紹介された。この周辺は希少生物多様性の宝庫で、この奇跡の海が失われれば、瀬戸内海の生物多様性の復活は望めないという危機感にもとづいた保護保全を強く求められた。
 締めくくりに、参加者一同で「上関原子力発電所の建設中止を求める」アピールを採択した。
 引き続いて行われた懇親会の席上では、会員所属協会の環境公害に対する活動についての披露があった。
 翌7日、原発建設予定地の上関町「田ノ浦」埋め立て海域の、浮標ブイで囲っている状況を船上より視察後、建設予定地が真正面に眺められる離島「祝島(いわいしま)」で、建設反対派住民との対話交流集合を持った。
 その声は、「田ノ浦」近くを活断層が走り、祝島住民の避難経路も確保されていない問題を指摘し、大きな危険と隣り合わせだとして、建設中止を強く求めていた。
 最後に同席者全員で、建設中止のシュプレヒコールで視察学習会を終了した。
【西区・歯科 山田 旺】

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