兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2011年2月25日(1647号) ピックアップニュース

主張 菅・民主党政権 国民生活第一の公約に立ち戻れ

 先月14日に菅第2次改造内閣が発足した。経済財政担当相に「たちあがれ日本」を離党した与謝野馨元財務相を起用するなど、自民党政治への逆戻りともとれる動きが見られた。消費税増税論者で民主党批判の急先鋒であった与謝野氏の入閣については、各方面からの批判が相次いでいる。
 政府は予算編成で、財界の強い要求である法人税の引き下げを受け入れた。財界は「国際競争力向上のため」などいろいろと理屈を並べるが、結局は内部留保を取り崩すのが嫌なのである。
 企業自身も民間機関のアンケートで、法人税減税分は内部留保になると回答している。内部留保とは、つまるところ企業が労働者から巻き上げた金である。
 他方では消費税率を上げよと言うが、消費税は、金持ちでも貧乏人でも容赦なく一律に課税される不平等税の一種である。
 社会保障分野では、高齢者医療新制度案で、国と地方自治体の負担を軽減し、被保険者へのしわ寄せを狙う国保の広域化を推進するとした。70~74歳の窓口負担2割引き上げや、保険料減額措置の段階的廃止なども盛り込んでいる。
 また、企業の社会保険料負担軽減を可能とするために、医療保険の都道府県単位での一元化もめざしている。
 介護保険では、要支援者の給付制限、相部屋の室料負担などを計画している。
 医療ツーリズムや高度先進医療などで、混合診療の解禁ももくろんでいる。混合診療の解禁は、結局は医療格差の増大になり、命は平等であるとの理念に反する。
 大企業の輸出拡大のために、日本の農業を犠牲にするだけでなく、規制緩和を通じて医療の市場化や混合診療解禁にも結び付く環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)にも、「平成の開国」と称して参加しようとしている。
 一昨年の選挙で民主党が自民党から政権を奪取したのは、国民が腐敗した自民党を見限り、「国民の生活が第一」との民主党の公約に期待したからではないのか。民主党がこのままの状態では、国民は「民主党は自民党と同じ」と思うようになる。
 期待が大きかっただけに失望も大きい。民主党には、ぜひ一昨年の公約を守ってほしい。

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