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兵庫保険医新聞

2011年4月05日(1651号) ピックアップニュース

東日本大震災 窓口負担免除 対象者拡大が実現 全被災者免除、診療報酬概算請求、医療機関再建助成を要請

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避難所で母親から病状を聞き、
男児を診察する広川理事
(3月20日、仙台市・岡田小学校)

 厚労省は、東日本大震災被災者の医療費一部負担金について、免除対象者を大幅に広げる事務連絡を3月23日付で都道府県に追加通知した(兵庫保険医新聞1651号3面掲載)。被災者全員の免除を求めた兵庫協会の要請(本紙前号既報)が一部実現したもの。協会は引き続き、被災した民間医療機関への速やかな再建のための公的助成と3月分以降の診療報酬概算請求実施を求める要請書を政府に送付。16年前の阪神・淡路大震災の経験や教訓を、死者数1万人を超える未曽有の大災害の被災地支援に活かすべく全力をあげている。


 厚労省は当初、15日付通知で、医療費一部負担金について「住家の全半壊、全半焼又はこれに準ずる被災をした」「主たる生計維持者が死亡し又は重篤な傷病を負った」場合などと、対象者を著しく限定していた。
 その後の23日通知で、(1)主たる生計維持者の行方が不明(2)業務を廃止または休止(3)失職し無収入(4)原発で避難か退避を行っている-の4項目を追加。対象者拡大を求める兵庫協会や保団連の要請が大幅に実現した。
 しかし厚労省の同通知は、依然として被災者を振り分けしようとするもので、取り扱い期間を5月末とするなど問題点は残しており、協会は引き続いて被災者全員の一部負担金免除を求めていく。
 協会は22日には、被災民間医療機関の解体・撤去や全半壊・一部損壊、流失・焼失した医療機関の復旧、復興のためのすべての被災医療施設・設備の再建に見合う公的助成、長期・無利子の緊急融資についても要請した。
 また、診療録等を流失や棄損したか否かにかかわらず、通常診療所が不能に陥った被災地域のすべての医療機関を対象に診療報酬の概算請求を認めるよう求めたのに対し、厚労省は、概算請求を認める29日付事務連絡を通知した。
 今回の大震災では、被害の規模からも「阪神・淡路」を上回る、十分かつ迅速な公的補償・助成が不可欠だ。

広川理事らが宮城・仙台に

 3月19日から21日にかけて、協会の広川恵一理事と足立俊彦・横山哲朗両事務局員が、和歌山協会の小野田幸男理事、上野佳男事務局長らと共に、被災地へかけつけた。仙台市の避難所や宮城協会事務局を訪れ、医療支援や被災状況・ニーズ集約に努めた。
 宮城協会では、北村龍男・宮城協会会長や野地俊一事務局長らから、会員医療機関の被災状況や会員安否などの聞き取りを行った。宮城県庁も訪問し、県保険福祉部医療整備課地域医療班の職員や災害医療コーディネーターらと被災地の課題などについて話し合った。
 避難所となっている吉田小学校や天真小学校、坂総合病院なども訪問。広川理事は被災住民一人ひとりに声をかけ、健康状態の確認や必要に応じて投薬を行った(写真。兵庫保険医新聞1651号3面に広川理事と上田耕蔵評議員の被災地報告を掲載)。

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