兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2011年6月25日(1658号) ピックアップニュース

燭心

 2万人以上の死者・行方不明者を出した東日本大震災から3カ月が過ぎた。津波に襲われた地域では、まだ瓦礫の片付けさえ終わっていない▼どう復興していくかは、これから計画されるようだ。港湾施設などの復旧をしないと、生活はなかなか元に戻らない。阪神・淡路大震災でも、都市機能の回復には時間がかかった。格差なき生活再建は未完との意見もある▼東北震災では、医療機関の崩壊も顕著であった。最新医療も、設備や電気のない状況では効果を発揮しないことが示された。ボランティア医療スタッフにより当面は乗り切ったが、将来はまったく見えてこない。少なくない医療要員が死亡し、生き残った医師で廃業を表明した人も少なくない。倒壊した医療施設の再建見込みも立っていない。東北は、もともと医師数が全国平均より少ない所である▼福島第一原発の事故は将来へ非常な禍根を残した。放射線のため、再建の見込みが立たない地域が広範囲に達した。この地域の放射線が安全域に達するには、途方もない時間がかかるらしい。事故現場周辺では、このことによる経済的損失も計り知れない▼原発事故の悪影響は以前から指摘されてきたのに、その声を抹殺して危険な原発の開発をすすめてきた人々は、非難されても仕方ない。少なくとも日本のように地震や津波の多い場所では原発を推進すべきではない。事故が起きた時、「想定外の出来事」で済ますにはあまりにも大きな災いが降りかかる。(海)

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