兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2011年8月05日(1662号) ピックアップニュース

燭心

 困ったことになった。最も危惧していた食品による内部被曝の問題が出てきた▼東北の大震災は関西人から見れば対岸の火事と思い、直接の震災被害は肌身には感じなかった。しかしここにきて、放射性物質がhot spot的に落下し、高濃度の放射性セシウムが稲わらに付着した。それを食した汚染牛が全国に流通し、国の対応が後手後手に回りさらに被害を大きくした。今後、発癌、流産、奇形児出産等々が問題になった時は、国や東電はいかなる責任をとるのか?▼ネットでは連日その危険性を指摘する情報が氾濫しているが、テレビ等のマスコミでは食品会社や大型外食産業がスポンサー、株主になっているからか、正確な情報を隠ぺいしているように思える。国民の生活・安全が第一で消費者主導の世の中にしなければならない。今の政府に期待できるのか?▼人体の五感すなわち視覚、聴覚、触覚は物理的感覚で、嗅覚、味覚は化学的感覚である。さらに敷衍すれば、嗅覚は遠隔化学感覚、味覚は近接化学感覚と言える。人体は放射線を受けても感知できない。危険から回避困難だ。牛乳や乳製品、お茶や野菜を食べても味に変化はないし悪影響はすぐには発現しない。このことが逆に消費者に強い不安を与える▼原子力というパンドラの箱を開けたのは人間だが、造化の神も、人体に放射線に対する感覚を具備させなかったのは36億年の生物進化の過程で“神にとって人間の行いは想定外”であったからか!(鼻)

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