兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2011年8月25日(1663号) ピックアップニュース

燭心

 政治が動いていない。震災復興への道も示されていない。さらに福島原発事故の収束にも見通しが立っていない。息が詰まりそうな政治への閉塞感が漂う。政党間の抗争はざわざわしている。現時点で現政権のことを語ることは、一瞬先は闇といわれる政界のこと、とてもできそうにない▼80年代、労働者が不足した、きつい、汚い、危険な仕事を「3K」労働といった。現在の3Kは、民主党マニフェストの①高速道路無料化②(農家の)戸別所得補償制度③高校無償化。本当は4Kだが、子ども手当問題は政治的決着済みにて除外。いずれの課題も民自公の“俺が俺が”の世界の問題。国民の多くが虚しく静観しているのは間違いない▼それ以上に、社会保障の財源、震災復興の財源、おまけに東電が全責任を持つべき福島原発事故の補償金の財源。ずらりと並んだ国民負担増の大問題。国民の大反対で政争の具とならないよう各論はうやむや。明らかに国民に背を向けた状況、怒りすら感じる。被災地の人々や避難生活の人々の心中を察する▼日本の貧困率が16%と記録を更新した。先進国の中でもダントツだ。子どもの貧困率も上昇し、社会資源で再配分すると、より格差が広がるという。生活保護者が200万人を超え、それでもこの制度の捕捉率は3割程度。今一度考えてみよう、政治とは何か、国民を守るとは何か。原発村を作ることでも武器や核兵器を担ぐことでもない。憲法に基づく富の再配分だ。(無) 

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