兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2011年11月05日() ピックアップニュース

歯科会員アンケート 受診抑制が悪化 将来に不安 患者負担軽減・診療報酬改善で「保険で良い歯科」を

 保団連が全国で一斉に実施した「歯科会員アンケート」の兵庫協会集約分の結果が明らかになった。アンケートは、東日本大震災以後、全国的に患者受診が減少しているとの声が寄せられていることを受け、患者受診状況と今後の歯科医院の経営などに関する会員の意識を調査し、その問題点を国会議員やマスコミ関係者などに周知するなど、歯科医療の崩壊阻止の諸活動に活用するため実施したもの。兵庫協会では、FAX可能な歯科会員1391人に9月下旬に送信したところ、回答数は202人、回答率は14.5%であった。


 回答の特徴として、第1に、受診抑制の傾向が著しくなっていることである。
 3月の大震災以前と比べて請求点数と患者数が「減った」との回答が4割近くに上っている(図1,2)。また、秋以降の患者の増減見込みについても「減少する」が3割近くになっている(図3)。
 第2に、自費診療重視の傾向がみられることである。
 医業収入を増やすための方法として、「保険診療を増やす」が2割に満たないのに対し、「自費を増やす」「経費を減らす」がそれぞれ3割の回答となり、患者減と低診療報酬という困難を乗り切るために、自費診療を増やすことで対応しようとする傾向がみられる(図4)。
 また、「自費を増やす」とした回答者に「自費を増やす」分野を聞くと、半数以上が「インプラント」としている(図5)。
 第3に、自費診療を志向する傾向があっても、自費の増大もあまり見込みがないということである。
 「自費を増やす」とした回答者の中でも、自費は「増える」としたのは3分の1にすぎず、「増えないと思う」「変化しない」との回答も4分の1あり、自費を増やす経営努力をしても、自費が増える見込みがないという矛盾があることが認められる(図6)。
 第4に、将来展望の暗さである。
 診療所の承継について、「子どもが承継」と決めているのはわずか1割にすぎず、4人に1人が「子どもを歯科医師にしたくない」と回答している(図7)。
 第5に、こうした歯科医療の閉塞状況を打破するには、患者負担の軽減、保険範囲の拡大、診療報酬の改善を求める「保険でより良い歯科」運動がますます重要となっていることである。
 自由意見欄では、患者負担の軽減と保険点数引き上げで、受診抑制の克服と経営の安定を求める声が多く寄せられている。
 歯科部会では、たくさんご協力いただいた今回のアンケート結果を参考に、「保険でより良い歯科医療」実現に向けての運動と政策を、協会内外にいっそう訴えていきたい。

□■寄せられた意見(抜粋)■□

・歯科、危機的状況です。個人の努力では限界です。
・極端な受診抑制を感じています。高齢者でも。
・負担金の持ち合わせなく来る患者がいる。国として対策を考えてほしい。
・患者さんの収入を増やす政策を求めるか、一部負担を減らす運動をしていかないとジリ貧になる。
・現在の保険点数では経営が成り立ちません。
・患者の負担割合を減らす方向、方法はないのか?
・歯科医師数が多過ぎるとは言えない。点数が20年前とほぼ一緒だという点が問題だといわれます。閉塞感しかありません。
・窓口負担を無料にすることに尽きると思います。

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