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兵庫保険医新聞

2011年11月25日(1672号) ピックアップニュース

インタビュー 県立こども病院なぜ ポーアイ移転(2) 現在地で機能充実を 全国心臓病の子どもを守る会兵庫県支部

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 県立こども病院のポートアイランド移転問題について、心臓病の子を持つ親・家族でつくる「全国心臓病の子どもを守る会兵庫県支部」の会員5人(氏名略)に話を伺った。同支部(会員約250人)は、心臓病児者とその家族の苦しみをなくすため、交流や情報交換、自治体への働きかけなどを行っている。




一番の不安は災害

--心臓病の子どもたちにとって、県立こども病院はなくてはならない病院と聞きました。
 Aさん はい。子どもの心臓病はほとんどが先天性で、治療には専門的知識が必要です。県内では、こども病院と県立尼崎病院以外、診てくれる病院はありません。
--こども病院をポートアイランドに移転する計画が県から出されています。どうお考えですか。
 Bさん 大きな病院を海の近くに集中させて、災害時に大丈夫なのでしょうか。とても不安です。
 Cさん 万が一に備え、拠点となる病院は分散した方がいいのでは。阪神・淡路大震災のことを県は忘れてしまったように思います。
 Dさん 先端医療施設によるバイオハザードの危険もあるとのことで、不安が募ります。抵抗力の弱い子どもたちを、なぜ危険に近づけるのでしょう。

県内どこでもかかりやすい病院に

--アクセスの点では、いかがでしょうか。
 Eさん 現在地は県内のどこからでも通院しやすく便利ですね。
 Cさん 私は姫路市に住んでいますが、病院がポーアイに移転すると遠くなって困ります。県北西部や淡路島から通院している方もたくさんいますから、今の場所がいいと思います。
 Bさん どうしても移転が必要なら、今より西側に作ってほしい。阪神間には、神戸市立中央市民病院や県立尼崎病院、兵庫医大などがあります。それに比べて県北西部には大きな病院がほとんどありません。県立病院なのですから、県全体のことを考えてほしいです。

キャリーオーバーの診療体制を

--県は「移転で二つの病院が連携することで、キャリーオーバー患者の診療体制ができる」と説明しています。
 Dさん 移転のための理由づけのように感じます。中央市民病院の移転計画が出された際も、新病院ができればキャリーオーバーの診療体制をつくると聞いていました。いざ新病院が開院すると、「医師が確保できなかった」と何も変わりませんでした。今回も同じではないかと不信感を持っています。
 Eさん 私の子どもは大学生ですが、今でもこども病院に通院しています。他の病院に行っても先天性の心臓病は診られないと言われます。これから就職・結婚・出産など、人生を過ごしていく上で、キャリーオーバー患者を支えてくれる体制は、確かに不可欠です。私たちは、成育医療センターを作ってほしいと県に要望し続けてきました。
 Aさん こども病院は現在地で建て替え、成育医療センターとして医療体制を充実してほしいですね。

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