兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年3月15日(1681号) ピックアップニュース

燭心

 "暑さ寒さも彼岸まで"まさにそのような季節となった。"二月堂のお水取りが済んだら""春は名のみの風の寒さ""三寒四温"など、厳しい冬を乗り越え春を待ち望む思いが多く残されている▼確かに、今冬は寒かった。とりわけ、東日本の被災地や豪雪地帯の方々は大変であったろう。しかし、温和な気候の神戸でも、活動性が落ち、バイタルサインが低下した在宅患者を経験した。いわゆる寒さ負けか? 前冬眠状態? 幸い節電を意識してのことではなかったが、室温を上げることで回復した▼そして春を迎える。"春眠不覚暁""春の海ひねもすのたりのたりかな"春はのどかで、さわやかで、はつらつとしたイメージがあるが、ここ数年いやもっと以前からか、春は激しく変化し、厳冬と猛暑の移行期としての実感が強い。昨年はモクレンのつぼみが凍結し真っ黒になり、桜の花に雪が積もった。いつ上着を脱ぐか半袖にするか、定まらない季節だ▼野田政権もそういう意味で激しい春を迎えている。鮮やかな花とは違い、咲かせてはならない"つぼみや新芽"がうごめいている。おまけに"維新"なる大災害必至な台風まで近づいている。危険極まりない。ひょっとして一足飛びに燃える夏にタイムスリップするかもしれない▼この彼岸、広辞苑には"川向こうの岸、生死の海を渡って到達する終局・理想・悟りの世界"とある。政治的にも季節的にも実際に穏やかで豊かな彼岸を迎えたいものだ(無)
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