兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年3月25日(1682号) ピックアップニュース

燭心

 昨年3月11日の東日本大震災から1年が過ぎた。約2万人の死者・行方不明者を出したこの災害の爪痕は大きく、復興への道程は険しい。しかし想定外の天災などと言っていられない▼筆者はこの災害での情報伝達の遅れを痛感した。地震発生後半日くらいは東京の状況ばかりだった。歩いて帰宅する人の映像ばかり流れていた。被災地の深刻な状況が流れたのはかなり経ってからだった。正確な情報を素早く伝えるという点で非常に問題があった。この災害で大きな損害を受けた福島第一原発の情報などは隠蔽された可能性もある▼警察や消防を含めた公務員の災害での働きは目覚ましかった。役場の職員の殉職も非常に多かった。公務員を無能呼ばわりし減らすべきとの声もあるが、問題があるのは政府などの上級職ではないか。政府の復興支援策は血の通ったものとは思えない。財界も内部留保を復興に役立てようとのそぶりも見せない▼津波被災地の医療機関にも多大な被害が出た。医師会などから支援の医療職が派遣されたが、現在ではその人たちも大方引き上げたようだ。しかし三陸地方などはもともと医師不足が深刻な所で、支援要員がそのまま残れればいいのにと思った。被災地の復興促進のためには医療機関の再建が非常に重要である▼被害を受けた地域でも何年かすれば復興して人が住めるようになる。しかし、福島第一原発の周辺地域では人が住めるようになるまで予想困難なぐらい長時間かかる(海)
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