兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年4月15日(1684号) ピックアップニュース

平成23年分 確定申告を終えて 協会税務講師団  浦上 立志 税理士

収入・経営状況の特徴
 貧困と格差社会が深刻化し、医療機関の経営と生活にも影響が現れています。
 内科系は、在宅診療に出かけるかどうか、外来の余裕と出かける医療がうまく調和すれば成功しているように思います。経費倒れと疲労困憊では長続きしません。土地に余裕があれば「高齢者サービス付住宅を手がけませんか」とのアプローチも建築会社から多いのではと思います。
 耳鼻科は、受診多めの年だったようです。
 小児科は、ヒブ、日本脳炎、三種混合、子宮頸がん等予防接種の過去分の受け入れもあり、保険外収入が大幅に増加しました。診療収入と半々、もしくは上回る例も珍しくなかったのではないでしょうか。これにより、消費税の課税事業者となってしまったというケースが多いと思います。
 地域により違いもみられます。現役並み収入の患者が多い地域では、それほど受診抑制はされておりません。一方、患者さんの懐具合を考えて、次の機会の検査を医師の側から予約する配慮さえ必要なところもあるようです。
 また、社会保険の患者さんの比重低下・生活保護や国保患者の増加がみられます。これは、会社勤めなのに、派遣や個人請負・パート・アルバイト形態などの不安定雇用の増加が背景にあるのでしょう。
 普及してきたホームページについて、広域に患者を集める場合には、意味があるかもしれませんが、その維持・管理のため多大なコストがかかります。普通は場所を明らかにすることと名刺代わりの役割でよいのではないでしょうか。
 また、この忙しくかつ、数字も固まらない時期に税務とは異なる基準で回答を求める経済センサスのいっせい調査がありました。税務データは目的外のため流用できないのだそうで、しかも、法令上、回答拒否には罰則が用意されていました。各種抽出調査の一本化・合理化なのだということですが、割り切れないものがあります。
経費の特徴
 エコポイントやオンライン化のための設備投資が一段落して、あまり多くの投資はなかったようです。
 リースは税務上、売買とされているので、リースによる機器購入についての税額控除適用が可能ですが、不徹底であるように感じました。
所得控除・年少扶養控除廃止など
 中学生以下に認められていた年少扶養控除はなくなりました。減額された子ども手当では、高額所得者の場合、負担増になりました。
 最高裁判決(2010年7月)によって、遺族に対する保険年金の扱い変更がされ、保険医年金、日医年金などでは、更正の請求によって、過去5年間で納め過ぎた所得税は還付されるようになりました。
 遺族に関する保険年金の平成12年から16年分までの特別還付金請求は本年6月29日までとなっていますのでご注意ください。
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