兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

兵庫保険医新聞

2012年4月25日(1685号) ピックアップニュース

燭心

 例年、満開の桜の季節になると西行を思い出す。彼の情念と桜の取り合わせに納得しながら過ごすのだが、今年はとても憂うつだ▼東日本大震災被災地の復興が遅々として進まない。また、膨大な量のがれきの処理を引き受ける自治体があまりにも少なくて、住民の同意が得られないことを理由に逡巡しているらしい。少なくとも、放射能で汚染されていない地域のがれきは早急に処理するべきだろう。この際、首相命令を発令してはいかがか。支援などと上から目線でものを言う前に、少々の灰をかぶる覚悟で住民は協力しよう▼最近、自己中心的な人が多くなったような気がする。原発問題でも、恩恵を受けるのはいいが、原発を抱える地元の苦悩やジレンマに思い至らない人もいる。代替エネルギーの開発が可能になるまで原発に頼らざるを得ないとすれば、大飯原発の再稼働も早晩受け入れることになってしまう。安全確認は最善を尽くしてほしい。大飯原発から百キロ圏外で、電力供給の恩恵を受ける地域では、使用済み核燃料の保管に関しても、将来協力できる態勢を構築して、お互いに負担の平準化を考える必要があるのでは▼政治が前へ進まない。どうでもいいような小さなことで野党が足を引っ張る。政権与党の中からも政府に異をとなえる。軸足の定まらないリーダー。烏合の衆のような国会を見ていると、そのうちに、良くも悪くも新しい勢力にとって代わられる予感がする。アンニュイな春(硝子)
バックナンバー 兵庫保険医新聞PDF 購読ご希望の方