兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年7月25日(1693号) ピックアップニュース

燭心

 梅雨も明け暑い夏の到来。異常気象のためか今年も豪雨などによる被害が多かった。花に関しては、木蓮、コブシ、桜に続き百花繚乱春景色。最後は紫陽花で全体にバランスよく締めくくられた感じだ。少し前まではあまり見かけなかったような花々、いわゆる希少種が、愛好家の多いためか至るところで見かけるようになった▼紫陽花もその一つ。子どもの頃は紫陽花にはカタツムリ、アマガエルと一体のイメージがあった。紫陽花も数種類しかなく、額紫陽花そのものが珍しいものだった。鎖国時代、オランダ商館の医師シーボルトがこの花に魅了され、愛人の「お滝さん」の名にちなんで「オタクサ」と祖国ドイツに紹介したのは有名な話。20年以上前には園芸品種に「マチコ」「ヨウコ」など女性の名前がつけられていたような記憶があるが、現在では全く事情が異なるようである▼最近は「紫陽花革命」なる現象が起きている。福島原発事故により今年の5月5日、日本の全原発が停止した。しかし安全性と具体的課題を残したまま原発再稼働に踏み切った野田政権に反対して起こった運動である。一人の青年のツイッターを通して、毎週金曜日、多くの人たちが反原発の一点で首相官邸を取り囲む。原発の安全性に対する不安や、利権集団の象徴である「原発ムラ」に対する怒りもある。中東のジャスミン革命とも対比されるが、小さな花が集まった「紫陽花」革命。季節とはいえ、うまく命名したものだ(無)
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