兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年8月25日(1695号) ピックアップニュース

燭心

 領土とは何だろう。固有の領土はあるのだろうか。国家や国民とは何だろう。ロンドンオリンピックでわく戦後67年目の夏、日本国の根底を考えさせられる事件が相次いだ。尖閣諸島や竹島や国後島の問題だ▼千年以上特定の言語を話す人々が住み続けていれば国家と固有の領土と言えそうだが、スペインのバスク地方は独立運動にも関わらず自治州のままだ。長い間国土を持たなかったユダヤの民が無理をしてイスラエルを作って中東紛争が起こった。イランやイラクの国境線は定規で引いたようだ。民族間の争いでスーダンでは長い間内戦があり南スーダンが生まれた。ヨーロッパでも独仏の間のアルザス・ロレーヌ地方は、戦争のたびに民の意向を無視して独仏で取り合いされている。国境は恣意的なものだ▼最近では海で、漁業だけでなく海底資源を巡って島の領有権争いが活発化している。千島樺太交換条約で千島列島は日本のものとなったが、もともとはアイヌ民族やギリヤーク人が住んでいた土地だ。尖閣諸島ももとは琉球民族が住んでいた土地だ。アメリカ大陸ももとはインディアンの土地だ▼東京オリンピックの閉会式、世界中の選手が兄弟のように一緒に行進した。ロンドンオリンピックは参加国1本ずつの聖火で巨大な1本の松明を作った。21世紀は領土争いするのでなく、世界中の民族がお互い助け合いながら、一回限りの生命を謳歌できる、平和で共に生きる地球を創る世紀にしよう(水)
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