兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年9月25日(1698号) ピックアップニュース

燭心

 9月初旬「グルメとワインを愉しむ旅」と銘打って北イタリアを巡った。南部とは気候、風土、人間の気質も違う。生真面目で、自分なりの哲学を持って葡萄作りをし、ワインをつくっている。その家業が父から子へ、孫へと誇りを持って継承されている▼150年以上前からバルサミコ酢を製造している農家を訪ねた。自家栽培の葡萄を低温で長時間煮て、しぼり汁を発酵させ酢を作るのだが、140年前のバルサミコも保存され、7・15・20・30・40・50年ものが販売されていた。料理や菓子の種類、用途により使い分けるのが基本とのこと。30年物(40mL)30ユーロ、40年物で50ユーロもする。木の樽は通常オークが使われるが、桜を使って作られたものは独特の高貴な香りがあり高価である。プラスチックのスプーンを渡され、熟成の若いものから順番に一匙ずつ味見をする。年を経るに従ってとろみが強くなり、酸味が甘いうま味にかわる▼パルミジャーノ・チーズの製造工場を朝早く訪れ、牛乳に胃酸を加えて固めるところから見学したり、犬を連れてトリュフ採りを体験▼この濃密な旅の仕掛け人は女性ソムリエのK・Kさん、ワイン教室の講師である。小柄で一見控えめな人。日本女性の綾さんはイタリア人男性と結婚し、ヨーロッパの食材を日本のデパートやスーパーに輸出する事業を立ち上げている。海外旅行へ出かけるたび、日本女性のバイタリティに目を見張る。彼女らにエールを送りたい(硝子)
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