兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年10月15日(1700号) ピックアップニュース

貴国の核実験の強行に抗議する

協会は9月20日、池内理事長名で下記の抗議文を関係機関へ送付した。

アメリカ合衆国大統領
バラク・フセイン・オバマ様
2012年9月20日
兵庫県保険医協会 
理事長 池内 春樹

 貴国は9月18日、今年4月~6月に未臨界核実験を実施したと発表した。核兵器の保持と新たな開発につながる核実験を強行したことに強い抗議の意志を表明する。
 貴国のエネルギー省の国家核安全保障局は、「核実験を行わずに兵器の安全性を維持する」ために、新しく核実験場や火薬を使わず強力なエックス線を用いて核兵器の爆発時に近い状態を作り出す実験を行ったとしているが、核兵器の保持と新たな開発につながる実験であることはあきらかである。
 貴国が未臨界核実験を実施したことは、去年11月の赤十字国際会議による「核兵器廃絶に向けた努力を」とした決議や12月の第66回国連総会において130カ国の賛成で採択された「核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議」や、今年9月にIPPNW世界大会にて採択された「ヒロシマ平和アピール」に逆行するもので、被爆者をはじめ核兵器廃絶を切望する世界の多くの人々の期待や願いを裏切るものである。
 日本では、東日本大震災・津波被災とそれによって引き起こされた東電福島原発の爆発・炉心溶融事故で放射性物質が大量に大気中に飛散し、住民が住み慣れた土地を追われ、いつ帰れるともわからない不安な生活を強いられており、あらためて放射線がもたらす事態の深刻さを全世界に知らしめることになった。
 われわれは、世界中の医師たちとともに、核兵器を「人類を滅亡させる兵器」と位置づけ、その全廃を求めてきた。67年前に広島・長崎に投下された原子爆弾が、未曾有の惨禍をもたらし、今なお被爆者に、救いがたい健康被害と苦痛をもたらしている現状を直視すべきである。
 今後、爆発を伴わない実験であれ、未臨界核実験であれ、いっさいの核兵器実験・開発計画を即時中止するとともに、核兵器廃絶条約の締結の協議開始などのイニシアティブを発揮することを強く要請するものである。
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