兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2012年12月05日(1705号) ピックアップニュース

燭心

 清少納言の枕草子に〝秋は夕暮れ...山の端、いと近うなりたる〟なる一節があったと記憶する。現代の都会の一日は、時計に追われ毎日、多忙、喧騒、雑然、日没が早いこの時期、千年前の感性の豊かさに感動する暇もない。六甲の山々や自然に抱かれているにもかかわらず、気がつけば日没を過ぎ、疲労感が肩に重い▼先日往診が長引き、ちょうど帰り道に夕暮れとなった。高層住宅から山裾を眺めると〝なるほど〟と平安の時期に思いをはせその気になる。やはり自然は偉大、山々の紅葉も美しく、町並みに沿って銀杏、特に今年は桜並木の色づきがあでやかだった。だが何となく昔と比べ一カ月くらい季節が遅い気がする。吐く息の白さ、行楽の季節、紅葉狩り...今はもう冬である▼地球温暖化のせいか、農作物の生産地も変化しているという。北海道では直近百年で平均気温が二度上昇したと。品種改良の努力もあってか、昔は寒くて稲作は不可能とされていた銘柄米が好評で、入手不可能になっている。その名は〝ゆめぴりか〟ピリカとはアイヌ語で〝美しい〟の意味▼温度上昇の原因は諸説あるが、やはり人間の営みによるところが一番か。炭酸ガスは赤外線を吸収するガス。このまま地球が暑くなればどうなるか。危機感をあおるつもりはないが、これまた諸説紛々。先日の衆院解散で「地球温暖化対策基本法案」'90年比で炭酸ガス25%削減の法案が「審議不能」になった。地球に優しい政治を望む。(無)
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